高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

等速円運動の加速度の向きは何故中心向きか?

 等速円運動の加速度の向きは円の中心向きになることが知られています。しかし何故そうなるのかを正確に説明している参考書はありませんでした。どの参考書もなんとなく煙に巻くように説明しています。これって読み手はバカにされた感覚にならないでしょうか?

 要領のいい人なら、そんなものかと飲み込むことができるでしょうが、私のような要領を得ない人間にとっては死ぬほど苦痛です。そしていろいろ勉強してわかったことは、実はそのことは高校数学で習う、三角関数、ベクトルの内積微分積分を用いることで非常に単純に導出できるということです。もちろん加速度の大きさの公式も同時に導出できます。

 具体的には、円運動する物体の位置ベクトル(軌道円の中心から物体の向き)を設定し、それを微分することで物体の速度ベクトルが得られます。さらに速度ベクトルを微分することで加速度ベクトルが得られます。ここで、位置ベクトルと速度ベクトルの内積をとると0になるので、速度ベクトルは軌道円の接線方向であることが分かり、さらに速度ベクトルと加速度ベクトルの内積をとるとやはり0になるので、加速度ベクトルの向きは軌道円の中心向きになります。

 何故こんな単純なことを解説しないのか。実はこれもアホ文科省がつくった高校数学カリキュラムの不備です。三角関数微積は高3の初めころに習うように配置しているので、多くの人がその証明は高校生には理解できないと思っているのです。だから誰も導出を書かないのでしょう。

 というわけで例によって文科省のしりぬぐいをすべく、「導出物理」でその不備を補い、しっかり導出を行っているので、是非それを味わってみてください。きっと教科書や他の参考書にはない感動が味わえると思います。

 

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微積物理という変な言葉

 2chやアマゾンのレビューなどによく「微積物理」などというおかしな言葉が使われています。これは微積を使って解説する物理の参考書を指すようです。そういう意味では「導出物理」は「微積物理」なのでしょう。私自身は解説に微積を使っても使わなくても、理解が進めばどちらでもいいと思っています。ただし、使った方が死ぬほど便利で、死ぬほど理解が進むので使っているだけのことです。

 現在高校物理に微積を使わないのは、文科省の方針であり、それに賛同する人も多いでしょう。しかし私はそれは非常におかしな観念だと思っております。

 微分積分の考え方自体は、実は非常に簡単で、高校1年生でも説明の仕方によっては楽に理解できることです。しかし、アホ文科省はそのことに気づかず、高2の最後頃に微積を習うようにカリキュラムを組んでいます。

 やむなく「導出物理」では例によって文科省のしりぬぐいをすべく、物理の教材なのに微積の初歩を解説しているのです。この解説を読んでいただければ実に簡単だと理解いただけるかと思いますが、実はこのように微積を簡単に解説してくれている物理の教材自体が皆無であることも、「高校物理で微積を用いるべきではない」という変な観念を植え付ける要因にもなっています。

 また、微積を用いて解説をしている高校物理の参考書も一通り目を通しましたが、私でも理解に苦しむくらい難しく説明しているものがほとんどです。高校数学で習わないような記号や公式を連発されては困りますよね?そのように配慮がない参考書しか世に出回っていないので、「高校物理に微積を用いるべきではない」と思ってしまうのはある意味当然かもしれません。

 

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導出の理解は後でもよい

「導出物理」は導出をテーマにして、高校数学で導出できることはできるだけ正確に導出を試みました。その理由は、根拠なく公式を覚えることに抵抗感を感じる生徒も多いからです。しかし、それをしっかり理解するのが困難な人は、とりあえず導出の理解ができなくても大丈夫なことは多いので、結論(公式)だけを覚えて基本問題の練習を優先してください。導出の理解は場合によっては大学に入ってからゆっくり理解しても問題ないです。

 興味のある人や理解に余裕のある人のみ導出を理解すればいいのであって、余裕のない人は無理に理解する必要はありません。ただし、「導出物理」に記載している程度のことが理解できないと、大学に入ってから非常に苦しむことが予想されますので、できればざっとでも理解する努力はしてほしいところです。

 

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ベクトル量とスカラー量

 今の高校物理ではベクトル量とスカラー量の違いをあいまいにしたまま運動や力学を習います。これはいまだに驚くことですが、生徒が学校で力学の初歩を習っているとき、学校の数学で「ベクトル」を全く習っていないのです。これは高校数学のカリキュラムの致命的な不備であり、その諸悪の根源は文部科学省にあります。私が高校生だったころの不備がいまだに直っていないのです。

ベクトル量とスカラー量の違いは簡単にいうと、

ベクトル量→大きさと向きを持つ量

スカラー量→大きさだけを持つ量で向きを持たない

ということです。

 力はベクトル量であり、ベクトルの定義を知らないまま力を扱うというのは本当に無理があり、それによって多くの生徒が様々な誤解や混乱をしているのです。逆に数学でベクトルをしっかり習っていれば、物理の力学の解説は実にシンプルで正確に行うことができるのです。

 このような不備があるため、「導出物理基礎」ではやむなく数学で習うベクトルの解説と練習問題を入れています。つまり文部科学省のしりぬぐいをしているのです。

 文部科学省のお役人さん、はっきり言わないとわからないので直接的に申し上げますが、あなた達は非常に頭の良いバカです。もっと言えば自分たちがバカだという認識がない傲慢な役立たずです。日本人がいつまでたっても英語が喋れないのも、あなた達がバカだからです。いつになったらご自身のバカに気が付くのでしょうか。教育の現場を知らないにもほどがあります。そもそも現場を本気で調査しようとすることさえ頭が回らないわけですから、傲慢極まりない税金泥棒です。 

 

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質問できる環境は一応必要

 「導出物理」はできるだけ質問がないように、つまり自力で解決できるように説明に気を使ってはいますが、人は誰でも観念がありますので、そのために理解できないことがあります。その場合は質問に答えてくれる先生や友達が必要です。もちろんいない場合はYahoo知恵袋などの質問サイトが有効ですので、できればネット環境は確保したいところです。

 ただ、簡単に質問はすべきではありません。自分で考えに考え、調べに調べた後でないと、質問の返答自体に理解が及ばないからです。私の指導経験で言えば、問題が解けない原因は、公式を暗記していなかったり、解説を隅々まで読んでいなかったりと、自分の努力不足によることがほとんどです。ですからできる限りの努力を尽くしてから質問をするようにしてください。

 

 

 

 

導出物理のレベル

 「導出物理」は完璧なものに近づける努力はしておりますが、万人にとっては完璧ではありません。「導出物理基礎」についてはどのようなレベルの高校生にも通用するようにできているとは思いますが、「導出物理 上巻/下巻」については偏差値55以上の高校に通う生徒でないと、独学は難しいでしょう。ただし学校の先生、塾の先生、家庭教師などの伴走者がいれば偏差値50くらいまでは対応できるかもしれません。

 導出物理は網羅性があるため、理解力が弱い(遅い)人ほど問題や学習内容を絞ってくれる人が必要になります。例えば私が偏差値45程度の高校に通う生徒に物理を教える場合は、導出物理(上・下)はあまり使用しません。自分で読解する能力はおおかたないですし、分量が多くてとても終わらないからです。一度に多くのことをやると混乱して知識が整理できないということもあります。それよりも学校で出されたプリントや学校の問題集を中心にやらせます。そして解説の時だけ導出物理をたまに使う程度です。これで定期テストでは80点以上を楽にとってきています。やはり能力が低い子ほど混乱しないように情報を絞るということが重要ですので、その点については注意が必要です。

 

追記:偏差値40台の人はどうすればいいのか加筆しました。是非お読みください。

 偏差値40台から理工系大学を目指す(1) - 高校物理・数学成績アップ術

偏差値40台から理工系大学を目指す(2) - 高校物理・数学成績アップ術

 

 

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予備校の講義で本当に物理の成績は上がるか?

 初歩の問題も自力で解けないのに、それを予備校に通って解決しようとするのははっきり言って不可能です。予備校の先生は問題を詳しく解説してくれるだけで、一人一人にどの問題をどこまで練習しなさい、というアドバイスはくれないし、問題でつまずいたときに、すぐにアドバイスはしてくれません。何度も言いますが、基本問題を反復練習すること以外で物理の初歩を身につけることは不可能です。

 ですから初歩の問題を解くレベルに達していないのなら、まず「導出物理」をやってください。導出物理はほとんど初歩的な問題しか掲載していません。掲載している問題が短時間で解けないのなら、予備校の先生の解説もピンときませんし、入試問題を解くレベルに達することは不可能です。

 逆に導出物理の問題をおおむね短時間で解けるようになれば、国立難関大学など一部を除けば、センターや赤本の練習ができるようになります。つまり予備校などに通わなくても自分で受験対策ができるようになるのです。(難関大学志望の場合は、導出物理を完成させた後、割と基本的な入試問題集をやってから赤本に着手したほうがいいでしょう)

 ただどうしても苦手な場合は、予備校ではなく個別指導塾に通い(もしくは家庭教師をつけて)演習中心の授業をしてもらうことをおすすめします。この方がはるかに効果があります。もちろん少人数制の予備校ならいいと思います。計算の仕方や解き方を個別に指導してくれる可能性があるからです。

 

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何故物理の成績が上がらなかったのか(3)

 次に教師の教え方の問題です。まず学校や予備校では解説に時間をとられ、演習をほとんどやってはくれません。これは非常に大きな問題です。前にも述べたように、物理は問題を解いて初めて理解できることがほとんどですので、演習が少ないとどうやっても理解が進まず、得点には結びつかないのです。ですから初歩の段階でつまづいている場合はいくら予備校や塾に通っても無駄なのです。

 何故解説に時間をとられるかといえば、やはり教科書や参考書に問題があります。多くの教師は一生懸命板書をして理解させようとしますが、私にとってそれはほぼ無意味です。私自身も自営の塾でそのようにしていたこともあったのですが、ちっとも結果は出なかったのです。

 そこで板書での解説はほとんどやめ、板書すべき内容とそれに対応した演習問題をテキストに配置し、授業の9割くらいを問題演習に費やしたところ、生徒たちは次々に結果を残していったのです。そしてそれによってほぼ確実に生徒の成績が上がることから、私にとってそれは成績を上げるためのゆるぎない法則になったのです。中学生の指導でそのことに気づき、物理でも同様のことがいえると考え、「導出物理」もそのように作成したのです。

 

 

 

何故物理の成績が上がらなかったのか(2)

 次に教科書の問題です。これは今でもひどい状況です。大人になってからはそれなりに理解力がついていますので教科書を読めば大体わかったのですが、それでも腑に落ちないことは多々ありました。電磁気学の定義については苦しみましたし、等速円運動の加速度の公式は非等速円運動でも同じ公式を適用するなど、どう考えてもおかしいと思うこともしばしばです。大人になった私でも納得できないことが多々あるのに、高校生の私が納得できないのは無理もないでしょう。これは文部科学省のカリキュラムも大いに問題です。残念ながら文系集団である文科省の役人にまともな教科書をつくらせることは無理なのでしょう。

 ですから「導出物理」の作成に当たっては私が思う教科書の疑問点を一つ一つ調べ、私自身が納得できるように教科書を書き直したのです。これは本当に面倒な作業でした。たぶん私のような時間がとれる自営業者でないと無理でしょう。教師や予備校講師は普段の仕事も忙しいのでここまで詳しく緻密に書くことは無理です。

 

何故物理の成績が上がらなかったのか(1)

数学の成績は希に校内で1位の成績をとるくらい上がったのに、物理はまるでだめでした。原因はいろいろあります。私自身の性格の問題、教師の教え方の問題、問題集や参考書の問題…などなど複合的に絡み合い、簡単にいうことはできません。

 最初に性格の問題について述べましょう。私の場合は「公式の導出」や「問題の解説の理解」を深めることで成績が上がると勘違いをしていたことです。当時は学校の教師や予備校講師にしつこく質問をしていました。それでなんとなくわかったような気になっていて、あまり問題を解きませんでした。(やっても解けなかったのですが)

 物理は基本的な問題を解いて初めて理解できることが多く、教師の講義を受けたり質問をしたりして理解できるということは少ないのです。ですからたとえ教科書や参考書の内容がよく理解できなくても、基本的な問題に絞って反復練習をすると成績は飛躍的に上がるのですが、当時は教科書や参考書、問題集の質が悪く、基本問題を解くというレベルに達することすら難しい状況があり、それは今現在でもあります。

 ですから「導出物理」では教科書の不備を補い、良質な基本問題を配置して、まず学校の定期テストで高得点を目指せるように設計したのです。学校のテストで高得点も取れないのに、受験問題が解けるようになるわけがありません。それにも関わらず定期テストで高得点をとるための教材は今現在でも皆無なのです。

 当時としては基本的なオリジナル問題を作って指導してくれるような塾に通わないととても物理習得は難しかったわけですが、千葉の田舎の私の育った地域には物理を教えてくれる塾はなく、どうしよもなかったのです。

 

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