高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

偏差値40台から理工系大学を目指す(1)

 私の生徒(A君)での成功例をお話しします。彼は私立の某マンモス大学の付属高校に入学し、週1回私の塾で数学と物理を習いに来ていました。高校の偏差値は40半ばで、出来のいい子とは言えませんでしたが、割と素直だったので助かりました。塾でやっていたことはほぼ学校の教科書、問題集、プリントです。私の講義は15%程度で、85%くらいは問題を解かせ、その都度わからないところを教えるというスタイル。「導出物理」は主に調べ用に使い、試験前に導出物理の知識問題、正誤問題を少しやる程度で、大半は学校のプリントをやっていたと思います。試験前は、学校のプリントの同じもの3枚くらいコピーして、家で繰り返し反復してもらいました。それで物理や数学の試験は大体80~90点台をとっていました。初めの学年順位は120番程度でしたが、最終的には30番台になりました。付属高校の場合、そのまま大学にスライドできるかどうかは学校の定期試験、実力テストで決まるので、無事希望していた機械関係の学部にスライドできました。(スライドなのでもちろん一般受験はしていません)

 偏差値45程度であれば、A君のように付属高校に入り、塾に通って試験で高得点を取って、そのままスライドするのが最も楽だと思います。部活(運動部)もやりながら希望の学部にスライドできたので学校生活も充実していたと思います。

 大学に入った後も少しA君から話を聞きましたが、大学の授業にはついていけているようです。まぁ塾で微積の計算などはさんざん練習したので大丈夫だろうと思います。彼は週1でも個別塾に来ていたことは大変大きかったと思います。もし私の塾に来ていなかったらまずこう簡単にはいかなかったと思います。中学で習うことの抜けていることも多かったですし、文章や人の話を理解する力が弱く、たびたび頓珍漢なことをやっていたり、何度同じことをやっても理解できないことも多かったですから。本当に私の塾に来ていないと思うとゾッとします。

 

  ところでこれはA君に聞いたことですが、彼の友達にすごく勉強熱心な子がいたそうで、毎朝学校に早く来て、教室で勉強していたそうですが、試験ではまるで点数が取れていなかったそうです。どうもノートにひたすら書き写して暗記していくような勉強をしていたようですが、偏差値40台の子が独学しようとすると、こういう結果になりがちです。つまり正しい勉強の仕方や情報の絞り方がほとんどの場合自分では判断できないのです。(文系科目に強い子で、数学の対策をする場合もその傾向が顕著)

 ですから個別塾や自習型の塾に通って定期試験対策をすることが重要になります。しかも理系の場合、高1からでないと全然間に合いません。私の経験では、高3になってから数学や物理を習いに来る子の70%くらいはどうにもなりませんでした。つまり手遅れということです。高1~2で習うことを復習しながら受験対策をするなど、どう考えても時間的に無理だからです。30%は何とかなりますが、そういう子は高1~2で習ったことの基礎は割とよくできています。

 

 実は高2の中頃から後半くらいになると、多くの子が理系は無理だと思い始めます。私から見て、理系に進んでもやっていけそうな子でも自信を無くすのです。その原因のほとんどは中学の数学と高1の数学でつまづいていることが挙げられます。

 一方偏差値40台のA君は高1~高3まで私の塾で勉強をしました。すると、計算などは塾に通っていない偏差値58程度の高校の子よりもできるようになったのです。ですから高1から対策を立てることがいかに重要かということがわかると思います。失敗する子の多くは高校受験を突破したことで安心してしまって、高1から何も対策を立てないのです。(難関私立高校の場合は塾や予備校のような指導をしてくれることが多いので、その辺はあまり考えなくてもいいのですが)

 

 さて、高1からは特につまづきやすい数学だけでも塾に通うべきだと思いますが、やはり注意が必要です。A君の友達で、塾に通っていても全く成績が上がらない子がいたそうですが、塾もしっかり選ばないといえません。得意科目などは集団塾やサテライト授業でもいいのですが、苦手科目は個別や自習型や少人数制でないとだめです。理由は苦手科目ほど本人のペースでできないとつまづくからです。ただし個別指導塾などでも駄目なことがあります。

 例えば素人の塾では、本人のレベルを考えることなく市販もしくは業者のテキストを使って、誰でも同じようなメニューを立ててしまいます。これでは成績はなかなか上がりません。また、成績を上げることについてあまり知識がない大学生に指導を丸投げしてしまっている場合もあります。指導する大学生が優秀でも、本人がやってきた勉強の仕方が万人に通用することはないので、当たり外れが出てきます。

 私の場合は本人のレベルに合わせて、臨機応変にメニューを決めます。A君の場合は学校のプリントや学校で買った問題集をやることが一番いいと思ったのでやりました。私はまったく優秀ではなく、予備校の先生のように難関大学の問題を解説する能力はほとんどないですが、成績を上げるための知識と経験があります。だから本人に合わせたメニューを考え、伴走するだけで成績が上がるのです。

 このように塾や予備校はどこでもいいというわけではありませんし、評判が良いところを選べばいいというわけでもありませんので注意が必要です。

続く 

 

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