国家財政の健全性を多くの人が誤解
政治家が国の財政の健全化などということを言っている。正確には政府の財政であろうが、多くの人は政府の負債が多い場合を不健全、その逆は健全と誤認している。これは次のことを知らないからだ。
誰かの負債額=誰かが持っている通貨の量
簡単に言えば政府の負債が膨らめば通貨量が増加し、逆であれば減少。つまり政府の負債とは通貨量の指標に過ぎない。
政府には通貨発行権があるので、通貨量を調整する役割にある。マネーストック(銀行以外の法人+個人が所有する通貨量)が減少してデフレ傾向であれば、負債を増やし(=通貨発行し)マネーストックを増加させ、インフレ傾向であれば増税などで負債額を減らし、マネーストックを減少させる。したがって負債額の多さで健全かどうかを判定するという考え方はあり得ない。
政府の財政が健全であるというのは次のことをいう。
マネーストックが減少傾向(デフレ傾向)なら政府の負債を増やす(通貨を発行する)
マネーストックが過剰傾向(インフレ傾向)なら政府の負債を減らす(通貨量を減らす)
※残念ながら現在のデフレ傾向で消費増税を行うことは、この真逆を行っており完全な財政不健全といえる。
したがってプライマリーバランス健全化などという言葉も破綻している。
※プライマリーバランス:歳入から公債金を除いた部分と、歳出から公債の利息や返還分を除いた部分との、釣り合い。
このバランスは、歳出に対して国債発行が必要かどうかという指標に過ぎず、バランスに対して健全という概念はあり得ず、論理破綻も甚だしい。
これは財務省もマスコミも政治家もこのようなことを言っており、由々しき観念であると言える。
なお、マネーストックが何故重要なのかは度々述べているが、そもそも法人としての銀行が持っているお金は借りない限り自由に使えない。つまり、市中銀行や中央銀行(政府)の資産額は国民の経済活動が活発になるかどうかとは無関係である。したがって経済を考えるうえで銀行や政府の資産を除いたお金の量(マネーストック)を注視するのは当然である。