金融緩和…我々経済の素人にとってよくわからない言葉だ。これをかみ砕くと、お金の存在量(マネタリーベース)を増やすことで、お金の循環を良くしようという考え方の様だ。
金融緩和として、以下のような政府が国債を買い上げる量的金融緩和政策を行ったことがあった。
もちろんこれでデフレ脱却とはならなかったが、この手法、ややわかりにくいので少し説明をしておく。
まず一般に市中銀行(民間の銀行)は日本銀行に口座を持っており、日銀から低金利でお金を借り、そのお金を高金利で企業や個人に貸して儲けている。銀行はお金を貸す相手が見つからないと、最終的には国債を買って金利を稼ぐほかなくなる。
仮にA銀行が1億円の国債を買うと、A銀行の日銀口座から1億円が消える。この消えたお金は政府に貸したということになり、時間の経過とともにA銀行はこの貸し出しによる金利を稼ぐことになる。
ここで、政府がその借りたお金を無理やり早めに返したとする。つまりこれは国債を買い上げたということ。そうするとA銀行の日銀口座には1億円が戻ってくる。つまり日銀の口座にお金が増えたということになる。このお金が増えたことで果たして物価は上昇するのか。
よく考えると、銀行はお金を借りたいという人が少ないため、やむなく国債を買っているわけで、それを無理やり返されてもどうしようもないだろう。つまり、この金融緩和政策でインフレになるわけがない。
マネタリーベース(お金の存在量)が増えるのはいいが、そのお金がどこにとどまっているかが問題で、銀行にとどまっているのでは全く意味がない。よって、日銀や政府が考えるマネタリーベースを目標とした金融緩和政策は完全に誤りと言える。何故マネーストック(銀行以外が持っているお金の量)を考えないのか…
次にアベノミクスの金融政策とは何だったのかを考えてみたい。具体的には以下の記事を参照。
https://www.findai.com/yogo001/0058y01.html
これをかみ砕くと、国債を保持する時間を長くして、国債を持っている銀行などに金利をいっぱいあげますよ、とか、政府が投資信託で投資を増やし、お金の量を増やしますよ、というもののようだ。これを行うと、お金に困った貧乏な人のお金の量は増えるのか。
前述の通り、銀行のお金が増えてもマネーストックは増加しないので無意味。そして投資信託を政府が行っても、そのお金は巡り巡って配当金が投資を行っている裕福な人に行く。つまり格差が拡大するだけである。政府が投資信託を行えば株価上昇に多少寄与するだろうが、そもそも株価が上昇すれば必ず企業の業績が上がるわけではない。株価とは、借用証(株券)の価値を表しているに過ぎないからだ。上場企業に対する人々の期待が高まるから株価は上がるわけで、それを政府が無理やり株価を上げて何の意味があるのか…