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高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

交流回路とオイラーの公式

導出物理では交流回路を複素数を用いて計算することを推奨しています。その方が覚える量が圧倒的に減ります。ただし、数学で複素数の性質をしっかりやってからでないと理解できません。でもご安心を。導出物理では最低限の複素数の解説と練習問題をつけていますので誰でも習得できます。

さて、若干厄介なのが、極形式です。これが長いので計算が多いとうざいんです。

z=|z|(cos(偏角)+isin(偏角))

複素数z=a+biは必ずこの極形式の形に変形でき、これを使うことが重要になります。

しかし、式が長いです。そこで導出物理では一応オイラーの公式を載せました。

オイラーの公式:e^i(偏角)=cos(偏角)+isin(偏角)

これを使うと、複素数zは次のように表されます。

z=|z|e^i(偏角)   ※^は指数を表す

これでだいぶ短くなりました。数学の問題でも楽なことがあるかもしれないので計算で使ってしまってもいいかもしれません。ただし証明で使うのはNGです。高校の教科書で証明できない公式を使うのはさすがにまずいです。

 

さて、オイラーの公式を証明するには大学で近似式の詳細を習わないといけません。

近似式によって、ネイピア数e^x,sinx,cosxは無限級数の形で表すことができます。

これによって似たような式が出てくるので、いろいろ消去するとオイラーの公式ができます。もちろん高校数学の範囲での証明はできません。

 

余談ですが、この公式はよく「美しい」と言われます。しかし私は別にそうは思いません。虚数単位とは人間が勝手に定義した道具にすぎず、その定義をもとにいろいろ計算してみたら、そうなったというだけですから。それよりも大学で習う近似式の方がすごいと思います。よくこんなことを発見したなぁとつくづく感心します。

 

こんなことを書くと近似式の勉強をしようとする人がいるかもしれません。しかしそこまでやるのはさすがにやり過ぎですので、お楽しみは大学に取っておきましょう。そんなに焦らなくてもほとんどの大学(理系)で習うことですから。それよりも目の前の入試を突破できなければ、そのお楽しみは味わえないので、くれぐれも本末転倒にならないようにしましょう。

 

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位相が2分のπずれる…が覚えられない

オームの法則:V=IRは有名ですが、交流の世界でも同様にV=IZという式があります。

ただし電圧Vも電流IもインピーダンスZも複素数であることに注意しましょう。

ここで電流をI=I0(cosθ+jsinθ)とします。

ここで、電気抵抗、コイル、コンデンサーのインピーダンスは次のように覚えるのでした。

電気抵抗:Z=R  コイル:Z=jωL     コンデンサ: Z=1/jωC

注意したいことはjと1/jの偏角です。j=0+jですから、(0,1)の座標と原点を結ぶ線分と実軸との成す角、つまり偏角π/2です。一方1/j=-j=0-jですから、偏角は-π/2ですね。

さて、コイルに流れる交流電流をIとしたとき、この両端の電圧Vは

V=I×jωL=ωLI×j よって、電圧の振幅はI0ωLで位相は(θ+π/2)となります。

極形式と積の法則によって、jをかければ位相はπ/2増加します。(数学の知識)

 

同様にコンデンサに流れる交流電流をIとしたとき、この両端の電圧Vは

V=I×1/jωC=I/ωC×(-j) よって、電圧の振幅はI0/ωCで位相は(θ-π/2)となります。

極形式と積の法則によって、-jをかければ位相は-π/2増加します。(数学の知識)

 

逆に電圧を位相の基準として、V=V0(cosθ+jsinθ)としても同じように考えることができます。V=IZより、I=V/Zです。これによって、同様に計算すれば、電圧の位相を基準としたときの電流の位相が簡単にわかります。

 

したがってこれを考えれば位相のずれ方も覚える必要がなくなります。複素数による計算の威力は素晴らしいですよね。高校物理の参考書や教科書のどこにも書いていない内容ですが、導出物理にはしっかり書きました。この感動を早く味わってほしいです。

  

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内積があれば外積もある

電磁気ではフレミングの法則なんていうのが出てきますが、私はこれが本当に苦手です。右手と左手の法則もあり、どの指が何を表すのかも覚えられないからです。(覚えてもすぐに忘れる)

ですから導出物理ではフレミングの法則は使わず、右ネジの法則で統一しています。

そしてこの法則によって定義されたのが外積だと思います。

   内積:A・B=|A||B|cosθ  外積:|A×B|=|A||B|sinθ

※A、Bはそれぞれ空間ベクトル ※×は「クロス」と読む

内積スカラー量で定義され、高校数学では必須ですが、外積は高校では習いません。

注意したいことは、外積はベクトル量であるので、大きさは絶対値記号をつけないといけません。

さて外積A×Bはどんなベクトルかというと、次のようになります。

向き:ベクトルAをベクトルBの方に回してネジが進む向き

大きさ:|A||B|sinθ  ※θはAとBの成す角(0以上180度以下)

この定義によって、電磁力とローレンツ力はベクトル量で非常にシンプルに表すことができます。

   電磁力=LI×B  ローレンツ力:qv×B

公式はsinθがついて厄介ですが、外積を用いればシンプルに覚えられます。大学に入ってからはこれが当たり前になるので、是非こちらで覚えてほしいと思います。詳しくは導出物理(下)改訂版の巻末に説明を入れましたのでご覧ください。

 

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虚数を使う交流回路の計算が面白い

直流回路の抵抗はよくRを使いますが、これはレジスタンスのことです。一方、交流回路での目安となる抵抗がリアクタンスです。これは電源の周波数とコイルやコンデンサーがもつ固有値で決まります。(※どちらも単位はΩ)

そしてインピーダンス複素数を用いて次のように定義されます。

インピーダンス=(レジスタンス)+j(リアクタンス)

※jは虚数単位

よってインピーダンスの大きさは次のように計算されます。

インピーダンスの大きさ=√(レジスタンス)^2+(リアクタンス)^2…①

高校物理の場合は、この説明がないまま、インピーダンスの大きさの公式を覚えさせようとします。そうすると、コイル、コンデンサー、電気抵抗のつなぎ方(直列や並列)や、つなぐ数などによって覚える公式が増大します。まぁ私のような記憶力がほぼゼロのような人間にはやる気をなくす項目です。

 ですから導出物理ではちょうど数Ⅲで複素数を詳しく学ぶので、複素数を用いた説明をすることにしたのです。次のインピーダンスを覚えることで、その公式を覚えることは不要になります。

電気抵抗=R+j0  コイル=0+jωL     コンデンサ=0+1/jωC

0はもちろん考えなくてもいいので、実際は次のように覚えます。

電気抵抗=R  コイル=jωL     コンデンサ=1/jωC

これさえ覚えれば、合成インピーダンスは実に簡単に計算できます。

直列の場合:Z=Z1+Z2+Z3+…+Zn  並列の場合:1/Z=1/Z1+1/Z2+1/Z3+…+1/Zn

これって中学で習った合成抵抗の公式と同じじゃないか!と気づきますね。

あとは①の定義によって大きさを計算すれば合成インピーダンスの公式は個別に覚える必要がないとわかります。こんなに便利なのに高校の教科書では複素数での説明が一切書いていないのです。だから導出物理で説明したのです。これを読まないと本当に大損しますので、早く読んでほしいです。

 

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高校物理でも置換積分法を使う

 導出物理では積の微分法や合成関数の微分法などを用いるので、できれば数学の方でも先に計算だけは練習してほしいです。数Ⅲの教科書と学校で買った薄い問題集を使えば誰でも独学できるはずです。

 もう一つ重要な計算法が置換積分法です。これは合成関数の微分法の逆のような計算で、数学的な証明も合成関数の微分法を利用します。(証明は数学の教科書を参照)

 導出物理では一定電流が流れているコイルのエネルギーを計算するときや、力学的エネルギーを解析するときに用います。この導出は高校の教科書にも市販の高校用参考書にもほぼ書いていません。したがって、導出物理を読めば本当にすっきりすると思いいます。

※ちなみに導出物理では部分積分法を使う説明は出てきません。

いずれにしても計算は練習あるのみです。練習を繰り返す中で自分なりにコツがわかってくるもので、裏技のようなものはありません。物理で問題を解くときには微分法や積分法はほぼ使いませんが、数学の入試では必修ですので遅かれ早かれ必要なことです。繰り返し練習すれば誰でもできることですから、素早く正確にできるまで練習しましょう。

 

 

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物理入試対策の秘策

  お察しの通り導出物理は一部を除いてはほとんどが基本的な問題である。よって導出物理の問題の7割から8割程度が瞬殺できるまで反復練習すれば個人のレベルに合わせて入試対策をすればいいだろう。

 そこでどの問題集を使えばいいのかということになるが、ネット上を見ると大体同じようなものが紹介されている。まぁ私自身も市販の問題集は大体目を通しているので、そんなに間違ってはいないなという印象だが、ここで他のサイトと同じような問題集を紹介しても仕方がないので、少し違った提案をする。

 まず市販の問題集の一番の欠点は、分野別に整頓されていることである。しかし実際の模試や入試問題はあらゆる分野の問題がランダムに出てくる。模試で経験している人はわかる通り、いろんな分野の問題がランダムに出てくると途端に難しく感じられる。つまり次にやるべき対策とはランダムに対する免疫をつけることだろうが、市販の問題集ではそれが大変やりにくいのである。

 ではどうするかというと、単問(小問)をたくさん出題する大学入試問題(過去問)をやることだ。単問(小問)であればほとんどが基本問題であるのでそんなに時間をかけることなく総復習ができる。

 この形式を出題する大学が、九州産業大学神奈川大学東京都市大学自治医科大学などである。特に九州産業大学神奈川大学東京都市大学の単問は非常に基礎的なのでおすすめしたい。ただしこれらが簡単すぎるという場合は自治医科大学の問題をやるといいだろう。それでも簡単だと感じるならセンターの過去問をすすめる。最近は主要大学の過去問がネットで無料で手に入るので是非検索してほしい。

 というわけでこれらの基本的な総復習が終わった後、別の問題集をやるとか、志望校の過去問をやるとか、個人のレベルに合わせて入試対策をしたらよいと思う。

 ところで導出物理の問題と同等レベルの基本問題をもっと解いておきたいと思う人もいるだろう。そのような場合は実教出版の「エクセル物理」の基本問題をやることをすすめる。ただしこの問題集の発展問題は国公立の過去問も散見し、割と難しいので注意が必要である。少なくとも私立の易しめの大学が志望校であればその発展問題をやるよりも志望校の過去問をやった方が絶対いいだろう。

  

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出版の非情な現実

 私が特に良いと思っていた数学の問題集に正高社という会社の「タイプ分けによる数学シリーズ」というのがあります。高校時代は塾で数学を習い、数学だけは成績がよく上がったのですが、この問題集を見たとき、塾でよく解いていたような問題ばかり出ていたのです。入試で出題された問題でも基礎的なものだけが厳選されており、教師や講師の方もすすめている人が多い問題集です。

 しかし、理由はわかりませんが正高社という会社は姿を消してしまいました。売り上げ不振でやめてしまったとしたら本当にもったいないことです。そうだと仮定するなら、高校側でたくさん採用して支えるべきだと思うのですが世間は非情です。

 導出物理も一応高校に案内を出して宣伝はしましたが、教師側は生徒の成績を革新的に上げることにまるで興味が無いかのように無反応です。ただ、反応がある高校というのは私立の上位校が多いです。やはりそれだけ敏感で意欲があるので、よい生徒が集まり、自然と高偏差値高校になるのでしょう。逆に、地元の高校を観察していると、旧態依然なことをやっている無頓着な高校は偏差値がどんどん下がっています。これはよい生徒が別の高校に流れている証拠です。しかしそうはなっても教師の給料が下がるわけでもないので、教師が奮起することはないでしょう。これが日本の高校の現実です。こんな状況ですから私も正高社と同じようになってしまうのではないかと、いつも不安と闘っています。

 

 話がそれましたが、もし正高社の方がこのブログを見ていたら、「タイプ分けによる数学シリーズ」のデータを譲っていただけないでしょうか。あまりにももったいないので、私が改定をして出版したいです。やはり良いものは後世に残すべきです。ご連絡は微風出版ホームページのお問い合わせフォームからお願いいたします。