高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

運動方程式は何故成り立つのか

少し定性的に考えてみましょう。ばねばかりにおもりをつるします。そのばねばかりを地上10mの位置と地上1mの位置で計ったとき、ばねばかりの値は変わるでしょうか?厳密にいえば変わりますけど、ほぼ変わらないと見なすことができますよね?つまり、おもりにはたらく重力は、地球上であればどこでもほぼ変わらないことになります。

 次にそのおもりを静かに落下させます。すると速さは毎秒約9.8m/sずつ増加します。つまりはたらく重力が一定なら、一定の加速度が生じます。同じ実験を月や木星などでやってみると、はたらく重力が異なるので、生じる加速度の大きさも異なり、一般に強い重力が生じているときほど大きい加速度が生じると考えられます。

 さらにばねばかりに同じおもりを2個、3個と追加して吊るすと、ばねの伸びも大きくなります。このとき静止しているおもりの加速度は0です。ということは生じている加速度が一定なら、質量が大きいほど強い重力がはたらくと考えられます。

 ここで質量mの物体にはたらく重力をF、生じる加速度をaとすると、重力の大きさは次の式で定義してもよさそうだ、ということになります。

 F=ma

 式の意味は、おもりの質量が一定なら、生じる加速度とはたらく力は比例し、はたらく力が一定なら、おもりの質量と生じる加速度は反比例するということになります。

 実はその比例と反比例の関係が成り立つことは実験で示すことができます。その実験はそれほど難しくはありませんが、結構長くなりますので「導出物理」を参照ください。その実験により下線部が成り立つことが示され、この下線部は「運動の法則」と呼ばれています。そしてこの法則が破られる実験は未だに確認されていないので、その法則はたぶん正しいだろうということになります。

 ということで、運動方程式は何故成り立つのか、ということですが、それは運動の法則が成り立つからであって、力の大きさはその法則をもとに定義されていると理解すればいいでしょう。

 

 

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら