教科書の多くは運動方程式は次のように書かれています。
ma=F
これは非常にわかりにくいと思います。ですので「導出物理」では必ず次のように記述しています。
ma=F1+F2+F3+・・・Fn …①
これは質量mの物体がF1~Fnの力を受けているとき、物体にaだけの加速度が生じるとしたときに成り立つ式です。これは何故かではなく、力はこの式が成り立つように定義されているのです。
そして加速度と力はベクトル量ですので、①式を成分表示で表現すると次のようになります。
m(ax,ay)=(fx1,fy1)+(fx2,fy2)+(fx3,fy3)+・・・(fxn,fyn)
上式のx成分についての等式がx方向の運動方程式、y成分についての等式がy方向の運動方程式となります。このようにすれば理解しやすいと思います。最初からx方向、y方向の式は?と考えてしまうから、一体何をやっているのかという全体像が見えてこなくなってしまうのです。
これについては導出物理基礎の4章で相当詳しく書きましたので是非読んで問題も解いてみてください。ここはこのテキストで最も重要な個所です。この章ではまず、実際の力(重力、摩擦力など)を考えるのではなく、例えば架空の3つの力がはたらいていたときの運動方程式を立てる練習などを掲載しています。これにより、「物体にはたらく力を探す」というもう一つの難しい作業をやらずに、運動方程式を立てる練習に集中できます。つまり、数学の教科書のような解説になっています。このような解説は高校物理の教材ではおそらく日本初でしょう。