高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

力のモーメントは外積で定義されている

力のモーメントの正確な定義は、空間ベクトルで表されるベクトル量です。しかし高校物理では非常にあいまいな教え方をします。ベクトル量ともスカラー量ともいわずになんとなく量を定義して問題を解くことになります。

 教科書の記述も厳密ではないことも多いです。練習問題文では「力のモーメントは何N・mか」と記述されますが、ベクトル量であるので「力のモーメントの大きさは何N・mか」とするのが正確な記述だろうと思われます。

 厳密に定義できないのは高校数学で外積を習わないからです。実は力のモーメントは外積を用いて次のように定義されています。

   N=r×F

※×(クロス)は外積演算子

※rは回転軸を始点、力Fの作用点を終点とするベクトル

この教科書の不備を補うために、やはり導出物理では外積の解説を行い力のモーメントを正確に定義すべきであろうと思いました。(この点はちょうど今改定したところです)

 教材を作っていて思ったのですが、外積自体はやはり高校で教えてもいいと思いました。というのは高校で覚える物理の公式は、大学では公式を修正して覚え直さねばいけないからです。これは全くもって非効率です。

 そして大学で修正して覚える公式は非常にシンプルで覚えやすいのです。ですから高校で外積を習うことは非常に価値があります。外積を理解することで、電磁気の分野でも公式が非常にシンプルになり有効です。

 ただし外積の成分計算は非常に複雑で、高校物理では使うこともないのでやる必要はないと思います。大事なことは外積の意味、向き、大きさなどを正確に理解することです。

 

というわけで次回改定の導出物理をお楽しみに!