高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

導出物理は独学に最適

 解説(導出)と例題と基本問題演習を同時に含む物理教材こそが最も成績が上がる優れた参考書であることは指導経験でわかっていましたが、そのような教材はほぼ皆無です。有名な「物理のエッセンス」はそれにあたる数少ない教材になりますが、残念ながら解説量と問題量が非常に少ないのが問題です。

 例えば等速円運動の加速度の導出は行っていなかったり、用語を確認するような問題がなかったり、半導体に関する解説がほとんどなかったりと、私から見たらいろいろな欠点が挙がってしまいます。

 ですので理解力がよく、こだわりがあまりなく要領のいい人にとっては何とかなるのですが、そうでない場合は歯が立たないという結果になります。

 しかし「導出物理」は完全に教科書傍用で網羅性もあり、解説と基礎問題も豊富で、市販のあらゆる教材の欠点を補っていますので、物理で苦しんでいる人は是非使ってみてください。きっと感動することがあると思います。

  

保存則はどこから来たの?

高校物理で習う保存則には力学的エネルギー保存則、運動量保存則がありますが、それらが何故便利かといえば、式に運動時間が含まれていないので、運動の前後の状態を把握するのが容易なのです。

 しかしそもそもこれらはどうやって導かれたのでしょうか?実はこれは非常に単純なのです。これらの法則は運動方程式を式変形したに過ぎないのです。(具体的には積分計算をして変形します)

 では運動方程式は何故成り立つのかということですが、これは運動の3法則(運動/慣性/作用反作用の法則)のうちの「運動の法則」に起因します。これは実験によって考え出された法則であり、これ自体は自然の成り立ちを式にしたものに過ぎず、導出などはできません。この法則が破られる実験結果はいまだかつて発見されていないので、それが成り立つという風に今のところ理解するようにしましょう。

※運動の3法則については「導出物理基礎」で詳しく解説しましたので是非読んでください。

 

 

運動エネルギーの導出はちょっと難しい

1次元の運動(直線運動)で等加速度運動ということに限定すると、運動エネルギーの導出はそれほど難しいものではありません。したがってそれについての導出は「導出物理基礎」で掲載しました。

 しかし2次元や3次元の運動についても成り立つことを導出するにはちょっと難しいので「導出物理(上下巻)」での掲載は見送りました。しかしそれについても問い合わせをいただきましたので、改訂版については巻末に2次元運動での導出を掲載することにしました。(2次元運動の導出が分かれば、3次元に拡張しても容易に理解できます)

 ただ、高校数学の範囲を若干超えるため、解説がちょっと苦しくなります。それには仕事積分(線積分ともいう)という考え方が必要になるからです。しかしその原理はたいして難しくはありません。高校で習う積分は、例えばある関数をxで積分をするとき、グラフのx軸は必ず直線になっているのですが、仕事積分の場合はそのx軸がグニャグニャっと曲がった曲線になるだけなのです。その曲線とは物体の移動経路に対応します。というわけで「改訂版」を是非ご期待ください。

 

 

 

 

教科書のインピーダンスの記述はほぼ誤り

 交流回路の抵抗に相当する物理量にインピーダンスがあります。これは実際はベクトル量であり、複素数で定義されているものですが、多くの教科書ではスカラー量として説明しています。ですので高校の教科書で出てくるインピーダンスの式は「インピーダンスの大きさ」と記述しなければ誤りです。

 そして「インピーダンスの大きさ」は覚えにくい公式があるのですが、大学に入ってからは定義のし直しが必要になり、覚えたものがほとんど役に立たなくなるという結果になります。「導出物理」の作成の立場からしても、これはちょっとまずいと思うようになりましたので、「改訂版」では数学で習う複素数の解説から行い、インピーダンスを正確に定義した解説を加えました。これは高校物理の教材としては日本初となります。

 といってもそんなに難しいものではありません。抵抗、コイル、コンデンサーのインピーダンス複素数で覚えることで、合成インピーダンスが簡単に計算できるようになるのです。これで長い公式は覚えなくて済みますし、高校数学では複素数を必ず習いますので、受験で役に立たないということもありません。「導出物理 改訂版」を是非ご期待ください。

 

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高校教師がつくるバカプリントの例

かつての私も公立高校の生徒でした。そのときの世界史の教師は特に最悪でした。非常に緻密なプリントを使っての授業でしたが、そのプリントには多くのブランクがあり、講義の内容を聞いて、生徒はそのブランクを自主的に埋めていきます。

 ところがどのブランクに、どの用語が入るのかということだけに集中してしまい、私のように頭の弱い人間には講義の内容が一切入ってこないのです。一方話に集中すると、今度はブランクが埋められなくなってしまうのです。

 ブランクを埋められていない生徒を見た教師は「集中して聞いていないのが悪い」という態度で一貫しており、ブランクに入る用語は一切板書しませんでした。結局授業が苦痛になりやる気をなくしました。今では世界史の用語は何一つ覚えていません。

 私がプリントを作るのであれば、ブランクなしのまとめを作って、そのあとに一問一答の簡単な確認問題を掲載します。それで少しでも演習を行うようにします。そうすることで頭の弱い人間にも十分対応できるのです。長年やっていてもそんなことに気づかないのですから、公務員とはやはり頭がどんどん退化しうる可能性を大いに秘めている職業といえます。

 

これが私の考える最上級のバカ高校教師

 生徒の学校の定期テストの成績については必ず聞くようにしていますが、平均点が30~40点というのは本当によくあることです。一体教師は何をどう教えているのか、本当に疑問です。

 高校教師がつくった定期テスト問題もよく見ますが、これで教師の質がよく見えます。まず私の考える最上級のバカ教師とは、定期テストなのに難問、奇問、入試問題を多く配置するような人です。その理由は、生徒からしてみると「あの先生の作った問題はいくら勉強しても点数は取れない」と思うようになり、生徒のやる気を削ぎ、その教科自体を嫌いにさせるからです。

 次に許せないのが、定期テスト前に、どの問題をどれだけ解けば点数がとれるかということを具体的に指示しない人です。これではそもそも勉強のしようがありません。生徒は1つの科目だけの勉強をしているわけではありません。様々な科目の対策をしなければならないのです。ですからその負担を減らしてあげるのは教師として当然のことです。それは生徒のためにならないと考える人もいるかもしれませんが、生徒がやる気をなくしたら、その時点で終わりなのです。そんなことは一切思う必要はなく、生徒がやる気を出すように全神経を集中されればいいだけの話です。それが教師の役割です。

 

「導出物理」の学校採用について

「導出物理」は板書はほぼ不要で、授業時間の7割以上を演習に費やすことができます。そこまで考えに考えて設計していますので、採用いただかないと、数十時間どころか、数百時間の時間のロスになり、激しく後悔することになります。

 「導出物理」の場合は上下巻あるため分量が多く、他教材より1000円程度高めになっておりますが、たった1000円程度をけちるがために、膨大な時間をロスすることになります。その1000円が本当に惜しいのでしょうか。よくお考えいただきたいと思います。

 おかげさまで私立高校を中心に「導出物理」の採用をいただき始めておりますが、公立高校は資金不足のせいかなかなか採用いただけません。資金がないのであれば、直接取引も可能なので値下げ交渉ください。本は本屋で買わなければいけないというルールはありませんので。

 なお、2017年春の教材採用分より、採用のキャンセルをしないと約束いただける高校に限って値引き販売をさせていただくことにしました。2月末ころまでに採用のご連絡とおおよその発注部数をご連絡をいただければ、書店に流通しない在庫を確保させていただきます。詳しくは微風出版WEBサイト及びお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

 

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高校数学で導出できない物理の公式(2)

高校で習う電流が作る磁場の公式は主に次のようなものがあります。

・直線電流の周りの磁場

・薄いコイルの中心の磁場

・ソレノイドの中心付近の磁場

 ただ残念ながら高校の範囲では導出ができません。実はこれらの公式はもととなる公式があり、その公式を用いて計算することで上記の3つの公式を導けるのです。

 そのもととなる公式は微分方程式という特殊な形で表されるため、高校生には理解できなくはないかもしれませんが、相当難しい内容です。したがって大学に入ってから学ぶべき内容になります。

  ちなみにそのもととなる公式は2つあり、ビオ・サバールの法則、もう1つはアンペールの法則と呼ばれています。これらの法則は単に実験値に合うように考え出された式ですので、それ自体を導出することはできません。 

 

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高校数学で導出できない物理の公式(1)

 あのニュートンが発見した万有引力の公式は、高校数学の範囲内ではその公式が正しいことを導出することはちょっと難しいです。ですので、高校物理の段階ではそのまま覚えるしかありません。

 しかし、公式が正しいことはちゃんと導出することができるのです。その根拠はケプラーが星の観測によって発見した次の法則と整合性がとれるからです。

 

ケプラーの法則

惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描く。

惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である。

惑星の公転周期 T の2乗は、楕円軌道の半長軸 a の3乗に比例する。

 

ニュートンが予想した公式をもとにして計算を進めていくと、ケプラーの法則に矛盾しないという結果になり、これによりニュートンが予想した公式は正しいという結論になります。この導出は10ページ以上かかる大変難解なものですので、さすがに高校生に理解させるのはやり過ぎです。理解できたとしても大学受験にはほとんど役に立ちません。よって「導出物理」でも掲載を見送っております。

 くれぐれも深入りはしないようにしましょう。目下の目標は合格であって、難解な導出を正確に理解することではありません。

 

 

 

 

非等速円運動の加速度の大きさは?

高校物理の教科書を見て驚いたことは、「非等速円運動」の練習問題で、なんの説明もなく「等速円運動」の加速度の公式を用いていることでした。よく考えて問題に励んでいる人なら、「これはおかしい、何故だ?」と思うでしょう。

 結論から言うと、非等速円運動の軌道円の中心向きの加速度の大きさは、等速円運動のそれと式が一致します。これを述べているなら非等速円運動の問題を出題してもまだ許せるのですが、私の見る限り、それを述べている教科書も参考書も見たことがありません。これは物理の教科書の不備でしょう。

 なお、非等速円運動の場合でも、公式の導出は高校数学の範囲で割と簡単に行うことができますので「導出物理」ではその解説を行っております。気になる方は是非ご覧になってください。

 

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