高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

教科書のインピーダンスの記述はほぼ誤り

 交流回路の抵抗に相当する物理量にインピーダンスがあります。これは実際はベクトル量であり、複素数で定義されているものですが、多くの教科書ではスカラー量として説明しています。ですので高校の教科書で出てくるインピーダンスの式は「インピーダンスの大きさ」と記述しなければ誤りです。

 そして「インピーダンスの大きさ」は覚えにくい公式があるのですが、大学に入ってからは定義のし直しが必要になり、覚えたものがほとんど役に立たなくなるという結果になります。「導出物理」の作成の立場からしても、これはちょっとまずいと思うようになりましたので、「改訂版」では数学で習う複素数の解説から行い、インピーダンスを正確に定義した解説を加えました。これは高校物理の教材としては日本初となります。

 といってもそんなに難しいものではありません。抵抗、コイル、コンデンサーのインピーダンス複素数で覚えることで、合成インピーダンスが簡単に計算できるようになるのです。これで長い公式は覚えなくて済みますし、高校数学では複素数を必ず習いますので、受験で役に立たないということもありません。「導出物理 改訂版」を是非ご期待ください。

 

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高校教師がつくるバカプリントの例

かつての私も公立高校の生徒でした。そのときの世界史の教師は特に最悪でした。非常に緻密なプリントを使っての授業でしたが、そのプリントには多くのブランクがあり、講義の内容を聞いて、生徒はそのブランクを自主的に埋めていきます。

 ところがどのブランクに、どの用語が入るのかということだけに集中してしまい、私のように頭の弱い人間には講義の内容が一切入ってこないのです。一方話に集中すると、今度はブランクが埋められなくなってしまうのです。

 ブランクを埋められていない生徒を見た教師は「集中して聞いていないのが悪い」という態度で一貫しており、ブランクに入る用語は一切板書しませんでした。結局授業が苦痛になりやる気をなくしました。今では世界史の用語は何一つ覚えていません。

 私がプリントを作るのであれば、ブランクなしのまとめを作って、そのあとに一問一答の簡単な確認問題を掲載します。それで少しでも演習を行うようにします。そうすることで頭の弱い人間にも十分対応できるのです。長年やっていてもそんなことに気づかないのですから、公務員とはやはり頭がどんどん退化しうる可能性を大いに秘めている職業といえます。

 

これが私の考える最上級のバカ高校教師

 生徒の学校の定期テストの成績については必ず聞くようにしていますが、平均点が30~40点というのは本当によくあることです。一体教師は何をどう教えているのか、本当に疑問です。

 高校教師がつくった定期テスト問題もよく見ますが、これで教師の質がよく見えます。まず私の考える最上級のバカ教師とは、定期テストなのに難問、奇問、入試問題を多く配置するような人です。その理由は、生徒からしてみると「あの先生の作った問題はいくら勉強しても点数は取れない」と思うようになり、生徒のやる気を削ぎ、その教科自体を嫌いにさせるからです。

 次に許せないのが、定期テスト前に、どの問題をどれだけ解けば点数がとれるかということを具体的に指示しない人です。これではそもそも勉強のしようがありません。生徒は1つの科目だけの勉強をしているわけではありません。様々な科目の対策をしなければならないのです。ですからその負担を減らしてあげるのは教師として当然のことです。それは生徒のためにならないと考える人もいるかもしれませんが、生徒がやる気をなくしたら、その時点で終わりなのです。そんなことは一切思う必要はなく、生徒がやる気を出すように全神経を集中されればいいだけの話です。それが教師の役割です。

 

「導出物理」の学校採用について

「導出物理」は板書はほぼ不要で、授業時間の7割以上を演習に費やすことができます。そこまで考えに考えて設計していますので、採用いただかないと、数十時間どころか、数百時間の時間のロスになり、激しく後悔することになります。

 「導出物理」の場合は上下巻あるため分量が多く、他教材より1000円程度高めになっておりますが、たった1000円程度をけちるがために、膨大な時間をロスすることになります。その1000円が本当に惜しいのでしょうか。よくお考えいただきたいと思います。

 おかげさまで私立高校を中心に「導出物理」の採用をいただき始めておりますが、公立高校は資金不足のせいかなかなか採用いただけません。資金がないのであれば、直接取引も可能なので値下げ交渉ください。本は本屋で買わなければいけないというルールはありませんので。

 なお、2017年春の教材採用分より、採用のキャンセルをしないと約束いただける高校に限って値引き販売をさせていただくことにしました。2月末ころまでに採用のご連絡とおおよその発注部数をご連絡をいただければ、書店に流通しない在庫を確保させていただきます。詳しくは微風出版WEBサイト及びお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

 

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高校数学で導出できない物理の公式(2)

高校で習う電流が作る磁場の公式は主に次のようなものがあります。

・直線電流の周りの磁場

・薄いコイルの中心の磁場

・ソレノイドの中心付近の磁場

 ただ残念ながら高校の範囲では導出ができません。実はこれらの公式はもととなる公式があり、その公式を用いて計算することで上記の3つの公式を導けるのです。

 そのもととなる公式は微分方程式という特殊な形で表されるため、高校生には理解できなくはないかもしれませんが、相当難しい内容です。したがって大学に入ってから学ぶべき内容になります。

  ちなみにそのもととなる公式は2つあり、ビオ・サバールの法則、もう1つはアンペールの法則と呼ばれています。これらの法則は単に実験値に合うように考え出された式ですので、それ自体を導出することはできません。 

 

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高校数学で導出できない物理の公式(1)

 あのニュートンが発見した万有引力の公式は、高校数学の範囲内ではその公式が正しいことを導出することはちょっと難しいです。ですので、高校物理の段階ではそのまま覚えるしかありません。

 しかし、公式が正しいことはちゃんと導出することができるのです。その根拠はケプラーが星の観測によって発見した次の法則と整合性がとれるからです。

 

ケプラーの法則

惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描く。

惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である。

惑星の公転周期 T の2乗は、楕円軌道の半長軸 a の3乗に比例する。

 

ニュートンが予想した公式をもとにして計算を進めていくと、ケプラーの法則に矛盾しないという結果になり、これによりニュートンが予想した公式は正しいという結論になります。この導出は10ページ以上かかる大変難解なものですので、さすがに高校生に理解させるのはやり過ぎです。理解できたとしても大学受験にはほとんど役に立ちません。よって「導出物理」でも掲載を見送っております。

 くれぐれも深入りはしないようにしましょう。目下の目標は合格であって、難解な導出を正確に理解することではありません。

 

 

 

 

非等速円運動の加速度の大きさは?

高校物理の教科書を見て驚いたことは、「非等速円運動」の練習問題で、なんの説明もなく「等速円運動」の加速度の公式を用いていることでした。よく考えて問題に励んでいる人なら、「これはおかしい、何故だ?」と思うでしょう。

 結論から言うと、非等速円運動の軌道円の中心向きの加速度の大きさは、等速円運動のそれと式が一致します。これを述べているなら非等速円運動の問題を出題してもまだ許せるのですが、私の見る限り、それを述べている教科書も参考書も見たことがありません。これは物理の教科書の不備でしょう。

 なお、非等速円運動の場合でも、公式の導出は高校数学の範囲で割と簡単に行うことができますので「導出物理」ではその解説を行っております。気になる方は是非ご覧になってください。

 

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等速円運動の加速度の向きは何故中心向きか?

 等速円運動の加速度の向きは円の中心向きになることが知られています。しかし何故そうなるのかを正確に説明している参考書はありませんでした。どの参考書もなんとなく煙に巻くように説明しています。これって読み手はバカにされた感覚にならないでしょうか?

 要領のいい人なら、そんなものかと飲み込むことができるでしょうが、私のような要領を得ない人間にとっては死ぬほど苦痛です。そしていろいろ勉強してわかったことは、実はそのことは高校数学で習う、三角関数、ベクトルの内積微分積分を用いることで非常に単純に導出できるということです。もちろん加速度の大きさの公式も同時に導出できます。

 具体的には、円運動する物体の位置ベクトル(軌道円の中心から物体の向き)を設定し、それを微分することで物体の速度ベクトルが得られます。さらに速度ベクトルを微分することで加速度ベクトルが得られます。ここで、位置ベクトルと速度ベクトルの内積をとると0になるので、速度ベクトルは軌道円の接線方向であることが分かり、さらに速度ベクトルと加速度ベクトルの内積をとるとやはり0になるので、加速度ベクトルの向きは軌道円の中心向きになります。

 何故こんな単純なことを解説しないのか。実はこれもアホ文科省がつくった高校数学カリキュラムの不備です。三角関数微積は高3の初めころに習うように配置しているので、多くの人がその証明は高校生には理解できないと思っているのです。だから誰も導出を書かないのでしょう。

 というわけで例によって文科省のしりぬぐいをすべく、「導出物理」でその不備を補い、しっかり導出を行っているので、是非それを味わってみてください。きっと教科書や他の参考書にはない感動が味わえると思います。

 

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微積物理という変な言葉

 2chやアマゾンのレビューなどによく「微積物理」などというおかしな言葉が使われています。これは微積を使って解説する物理の参考書を指すようです。そういう意味では「導出物理」は「微積物理」なのでしょう。私自身は解説に微積を使っても使わなくても、理解が進めばどちらでもいいと思っています。ただし、使った方が死ぬほど便利で、死ぬほど理解が進むので使っているだけのことです。

 現在高校物理に微積を使わないのは、文科省の方針であり、それに賛同する人も多いでしょう。しかし私はそれは非常におかしな観念だと思っております。

 微分積分の考え方自体は、実は非常に簡単で、高校1年生でも説明の仕方によっては楽に理解できることです。しかし、アホ文科省はそのことに気づかず、高2の最後頃に微積を習うようにカリキュラムを組んでいます。

 やむなく「導出物理」では例によって文科省のしりぬぐいをすべく、物理の教材なのに微積の初歩を解説しているのです。この解説を読んでいただければ実に簡単だと理解いただけるかと思いますが、実はこのように微積を簡単に解説してくれている物理の教材自体が皆無であることも、「高校物理で微積を用いるべきではない」という変な観念を植え付ける要因にもなっています。

 また、微積を用いて解説をしている高校物理の参考書も一通り目を通しましたが、私でも理解に苦しむくらい難しく説明しているものがほとんどです。高校数学で習わないような記号や公式を連発されては困りますよね?そのように配慮がない参考書しか世に出回っていないので、「高校物理に微積を用いるべきではない」と思ってしまうのはある意味当然かもしれません。

 

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導出の理解は後でもよい

「導出物理」は導出をテーマにして、高校数学で導出できることはできるだけ正確に導出を試みました。その理由は、根拠なく公式を覚えることに抵抗感を感じる生徒も多いからです。しかし、それをしっかり理解するのが困難な人は、とりあえず導出の理解ができなくても大丈夫なことは多いので、結論(公式)だけを覚えて基本問題の練習を優先してください。導出の理解は場合によっては大学に入ってからゆっくり理解しても問題ないです。

 興味のある人や理解に余裕のある人のみ導出を理解すればいいのであって、余裕のない人は無理に理解する必要はありません。ただし、「導出物理」に記載している程度のことが理解できないと、大学に入ってから非常に苦しむことが予想されますので、できればざっとでも理解する努力はしてほしいところです。

 

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