高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

企業の内部留保活用は完全に誤り

 自民・甘利明氏の「内部留保イノベーション投資へ」という考えに物申します。

 

政治家の皆さん。何故企業が内部留保をし続けるのか。経営者の立場に立って想像してみてください。企業がお金をため込むのは、個人がお金をため込む理由とそう変わらないと思いませんか?

 先行きが不安だからお金をため込む…

 そしてよく考えてください。内部留保が本当に経済を停滞させている原因でしょうか?違います。お金が従業員に多く、しかも安定的に分配されないことが原因です。

給料不安定、給料減→景気低迷

しかし甘利氏は次のように考えているようです。

減税で内部留保の活用→景気向上

私が経営者なら投資をして儲けたお金も留保します。先行きが不安定ですから。これが大勢なら上記政策は全くの見当違いです。

冷静に考えればわかることですが、見通しがよければ税金が高くとも企業や銀行は投資を行うはずです。税金を高く払ってでも収益が見込めるわけですから。逆に見通しが悪ければ税金が安くなったとしても失敗するリスクが高いわけで、減税は投資の根拠にはなりません。


先行きが安定する状況というのはどういうことかと言えば、個人の給料が上がり続け、緩やかにインフレが続く場合です。これが安定した状況です。バカの一つ覚えのようにインフレは悪だ、内部留保は悪だと考えるから間違うのです。財務省や経済学者もこの点を理解していない場合が多いのも問題です。(ここまでくると私自身は財務省と主流派経済学者の大多数はバカだと思っています)


そしてそもそもですが、根本的に誤っているのは、通貨を発行し、国民に配ることができるのに、企業の内部留保を活用しようとする発想です。

 

お金は個人から銀行と企業に極端に流れ込んでしまっている状態なのだから、経済が頭打ちになった状況下で個人の資産を増やすには、政府が通貨を発行し国民に何らかの形で通貨を配るしかありません。

具体的には公共事業の増加、ベーシックインカムの導入、介護・保育事業者への補助金の増加、教育の無償化(教育費がかからない分資産を増やせる)…やり方はいくらでもあります。

そしてよく考えればわかることですが、資産家の資産を間接的に減らすには、資産が少ない人に絞ってお金を配ることで解決します。これが簡単にできる格差の是正。これを適度に安定的に行えば緩やかなインフレが起こり、経済が回り始めると考えられます。緩やかな物価上昇によって、資産をため込むほど資産が減り、損をします。そのように考えれば緩やかなインフレこそ政府の目標でなければいけないと分かるはずです。

そう考えると消費増税、法人減税は全くの真逆政策であることが分かります。政府は通貨を発行(日銀が国債を引き受ければ金利はかからない)できる以上財源の問題など初めからないわけで、資産が少ない人がさらに資産を減らすような政策をとるのではなく、その逆の政策をとらなければいけません。