高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

大学入学共通テストにもの申す(2)

次に民間の英語試験について申し上げます。

文科省はまずこのこと自体が論理破綻していることを理解すべきです。

民間でできないことをやるのが国や自治体の役目。それを民間に丸投げするというのは完全に論理破綻しています。

そもそも何故民間試験を利用するということになったのか。

それは従来のテストが時代にあっておらず、民間試験の方が優れているからでしょう。だからと言って民間に丸投げするというのは完全に怠慢であり、仕事を放棄しています。そうではなく、民間試験に倣い、試験内容を改善すべきです。

そして当然以下の記事にある問題も起こります。

https://zendaikyo.or.jp/?action=cabinet_action_main_download&block_id=809&room_id=1&cabinet_id=17&file_id=6865&upload_id=19926

具体的には運営上の問題,利権の問題,不公平感を与える問題などです。

 

では具体的にどう変えればいいかというと、まず試験項目を次のように分類します。

①コミュニケーションのための英語

②論文を読解するための英語(英語基礎)

③論文を読解するための英語(英語発展)

そして大学側が①~③の組み合わせ選択できるようにします。

①ですが、これはリスニングの配点を多くし、続いて日常英単語の知識と会話文の読解程度でいいでしょう。思考力は問うべきではありません。スピーキングや作文能力などは採点が困難なため共通テストで考える必要はありません。これらは教師の質、学校の授業、教科書の質を改善することで対応すべきです。

会話をするためには、思考力ではなく例文や単語をどれだけ反復、詰込み、暗唱したかで決まり、それを問うようにすべきです。それを問うにはリスニングテストが最も有効であり、リスニングは6~7割くらいの配点にすべきです。

②は従来のセンター試験の方針でよいと思いますが、底辺の底上げということを考えると難易度が高すぎ、易しくすべきだろうと思います。また読解する速度には個々により激しい差があり、制限時間を延ばす措置も必要だろうと思われます。

これはすべての科目で言えることですが、短時間で解くことを課すのなら、読む速度、解く速度が速い人ほど有利であり、そうでない人はどうせやっても無理だと考えやる気をなくさせます。読む速度、解く速度はある程度訓練で何とかなりますが、脳科学でも明らかなとおり、脳の質は3歳まででほとんど決まるため、のちの努力では改善が大変難しい。したがって短時間で解くことを課すのは大変不公平と言えます。

 

前述の通り国が考えることは底辺の底上げであり、常に弱者の目線に立つべきです。基礎学力以上は個人の意思と各大学の理念に任せるべきであり、試験においては国が主導して行うべきではありません。とにかく余計なことはせず、リスニングの配点を割と極端に上げるだけでも日本人の英語力は向上すると考えられます。それをふまえて見直していただきたい。

 

大学入学共通テストにもの申す(1)はこちら

http://soyokaze-biz.hatenablog.com/entry/2019/10/26/010730