高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

巷の勉強法商材に注意しよう

現代の脳科学の研究では、ほぼ5歳くらいで脳の性能が決まってしまうというのが常識です。車で言えば排気量やエンジンの性能が決まってしまうということです。ですから、私も指導法や教材を相当研究しても、中学生であればワンランク上の高校に入れることが精一杯です。

 さて、巷に売られている勉強法商材の宣伝文句でよく「偏差値30→70」「落ちこぼれが難関校に合格」なんていうのがあります。一見すごいように思えてしまうのですが、これにはからくりがあります。

 この例は、特定の人がそうなったというだけで、例えば全体の70%の人がそうなった…などとは書いていません。脳の性能が良い人でも、勉強を全くしなければ当然偏差値は30程度ですが、そういう人が突然勉強に目覚めると成績が爆発的に上がったりします。勉強法商材はそのような特殊な例を宣伝文句に使っているだけなのです。

 もちろん勉強法商材は結構ためになることが書いてあることもあり、すべて悪いとは言いませんが、それで多くの人が爆発的な結果が出るかといえば、まったくそうとは言えません。まず、人の性格は十人十色であるのと同じように、勉強法も合う、合わないが人によって非常に激しく分かれますから、いろいろ試してみて取捨選択するという努力ができない人は、効果が得られません。そして根本的には、成績が上がるかどうかは本人の努力と脳の性能が大きく左右しますので、そのことがわかっていなければ単なるクレーマーで終わることになります。

 さて、成績が脳の性能でほぼ決まってしまうとしたら、努力しても仕方ないと思うかもしれません。しかし決してそうではありません。今の現状の範囲で自分のできることを探し、進歩向上することに意味があります。

 例えば私の中学時代の成績は、数学がちょっとできて、国語がひどかったので、相殺しても真ん中くらいの成績です。つまり頭の性能は平均的で、決して性能はよくありません。しかし、性能がよくないために、性能がよくない人の気持ちがわかるため、それが教育の世界で生かされています。

 現状は悲観するのではなく、自分のできることを見つけ、それをただ粛々とこなしていけばいいのです。たとえ希望が全く叶わない状況にあったとしても、目の前にある課題をこなすことが自分の成長につながり、それが継続できれば何らかの形で世の中に役に立つ人間になれる、そう信じて努力をしてほしいと思います。