高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

大学新生活の方へ まずパソコンを買おう

今まで10台以上パソコンを買い替えてきました。大手メーカー、小規模メーカー、海外メーカーと様々なものを試してきました。それで行きついたのがこちらのメーカー。今も私はこちらのメーカーのものを使っています。

 

純日本の小規模メーカーで工場も日本(山口)にあり安心。価格もある程度安く、電話サポートもつながりやすい。マイナーメーカーなので基本混むことがないんですね。(人気が出ると混むので本当はあまり教えたくない)

 

学生でもCPUがcore i5とある程度性能が高いものをおすすめします。起動などが遅いと本当にストレスを感じますので。

 

国産メーカー↓フロンティア↓

 

デフレ経済で投資を推奨するのは誤り

まずこのことを論証する前に、理解しなければいけないことがある。

仮にAさんが国から許可を受けて一人で「A銀行」を開業したとする。

Aさんはまだ開業したばかりで預金者は誰もいない。

ここにBさんが現れ、工場建設費用としてA銀行に1億円の融資を申し込んだとする。

ここでA銀行は融資できるかというと、理論上可能である。一般銀行は中央銀行(日本では日銀)から借り入れを行うことができるため、その借り入れを原資として、Bさんに貸し出すことができる。

A銀行は中央銀行からの借り入れに成功し、Bさんの審査を通せば、Bさんの口座に1億円が振り込まれることになるが、それは単に通帳に書き込まれるデータであり、紙幣や硬貨を介さず、1億円が誕生することになる。この瞬間、国民が使えるお金の全体量(マネーストック)は1億円増加する。

※この1億円の元は、中央銀行が発行したお金であるが、中央銀行は通貨を発行できる立場にあるため、中央銀行の原資は無限と考えられる。

 

次に10年後、Bさんは利子1千万円を含む合計1億1千万円をA銀行に完済したとする。さらにこの10年でBさん以外誰も銀行からお金を借りた国民はいないとする。

すると、国民が使えるお金の全体量(マネーストック)は10年前よりも1千万円減ってしまうことになる。(Aさんの給料を無視した場合)

つまり借金は返済するほど国民の使えるお金の全体量は減ることになる。

 

仮にBさんを含め、1000人が同時に1億円を借り、金利付きで10年後に完済すると、国民の使えるお金の量は、1千万×1000=100億円減少することになる。つまり多くの借り入れが起こる高度経済成長の後ほど、マネーストックは大きく減少する。

国民が使えるお金の量が減れば、当然それをみんなで分配しながら経済活動をしなければいけないため、給料減→物価安のデフレに陥るのは当然である。これが現在の日本の貧困化の原理。

 

さて、話は少し逸れるが、この減ってしまった1千万円を補うには、およそ次の3つの方法しかないと考えられる。

 

(1) Bさん以外の誰かが借金をし続ける

(2) 貿易黒字にする,外国人観光客を増やす

(3) 政府が通貨を発行して国民に配る

 

(1) の場合は、誰かが常に借金をしている状態を維持すればマネーストックは維持されるが、政府は基本的にコントロール不可能。(2)は関税をかけることくらいで、同様ににコントロール不可能。(3)なら可能である。したがってデフレ経済においては通貨を発行して国民に配り、通貨量減少を抑えなければいけない。(実際は緩やかなインフレが続くまで通貨量を増加される必要がある)にもかかわらず政府は消費増税をしており、これはデフレ対策ではなくインフレ対策であり、まったく真逆なことをやっている。

 

話を戻すと、今度は銀行を介さず、個人から個人に融資が行われた場合はどうだろうか?この場合はマネーストックの増加は起こらず、国民が使える全体量は変化しない。これは個人が企業に投資する場合も同様である。

 

つまり、個人が企業に投資を行い、その個人が利益を上げるということは、誰かのお金が減って誰かのお金が増え、その全体量は変化しない。これはただ格差が拡大しているだけである。

要するにデフレ経済において、投資を推奨するということは、

「お金を持っている人は貧乏な人からお金を吸い取ってください、貧乏な人は投資できないでしょうから、さらに貧乏になるけど我慢してね」

と言っているのと同様である。

 

政府が投資を推奨して、貧困問題は自分たちで解決しろ、と言っているのなら、それは国民を見捨てていること意味し、それはもはや政府とは呼べない。

 

 

企業の内部留保活用は完全に誤り

 自民・甘利明氏の「内部留保イノベーション投資へ」という考えに物申します。

 

政治家の皆さん。何故企業が内部留保をし続けるのか。経営者の立場に立って想像してみてください。企業がお金をため込むのは、個人がお金をため込む理由とそう変わらないと思いませんか?

 先行きが不安だからお金をため込む…

 そしてよく考えてください。内部留保が本当に経済を停滞させている原因でしょうか?違います。お金が従業員に多く、しかも安定的に分配されないことが原因です。

給料不安定、給料減→景気低迷

しかし甘利氏は次のように考えているようです。

減税で内部留保の活用→景気向上

私が経営者なら投資をして儲けたお金も留保します。先行きが不安定ですから。これが大勢なら上記政策は全くの見当違いです。

冷静に考えればわかることですが、見通しがよければ税金が高くとも企業や銀行は投資を行うはずです。税金を高く払ってでも収益が見込めるわけですから。逆に見通しが悪ければ税金が安くなったとしても失敗するリスクが高いわけで、減税は投資の根拠にはなりません。


先行きが安定する状況というのはどういうことかと言えば、個人の給料が上がり続け、緩やかにインフレが続く場合です。これが安定した状況です。バカの一つ覚えのようにインフレは悪だ、内部留保は悪だと考えるから間違うのです。財務省や経済学者もこの点を理解していない場合が多いのも問題です。(ここまでくると私自身は財務省と主流派経済学者の大多数はバカだと思っています)


そしてそもそもですが、根本的に誤っているのは、通貨を発行し、国民に配ることができるのに、企業の内部留保を活用しようとする発想です。

 

お金は個人から銀行と企業に極端に流れ込んでしまっている状態なのだから、経済が頭打ちになった状況下で個人の資産を増やすには、政府が通貨を発行し国民に何らかの形で通貨を配るしかありません。

具体的には公共事業の増加、ベーシックインカムの導入、介護・保育事業者への補助金の増加、教育の無償化(教育費がかからない分資産を増やせる)…やり方はいくらでもあります。

そしてよく考えればわかることですが、資産家の資産を間接的に減らすには、資産が少ない人に絞ってお金を配ることで解決します。これが簡単にできる格差の是正。これを適度に安定的に行えば緩やかなインフレが起こり、経済が回り始めると考えられます。緩やかな物価上昇によって、資産をため込むほど資産が減り、損をします。そのように考えれば緩やかなインフレこそ政府の目標でなければいけないと分かるはずです。

そう考えると消費増税、法人減税は全くの真逆政策であることが分かります。政府は通貨を発行(日銀が国債を引き受ければ金利はかからない)できる以上財源の問題など初めからないわけで、資産が少ない人がさらに資産を減らすような政策をとるのではなく、その逆の政策をとらなければいけません。

 

 

大学入学共通テストにもの申す(2)

次に民間の英語試験について申し上げます。

文科省はまずこのこと自体が論理破綻していることを理解すべきです。

民間でできないことをやるのが国や自治体の役目。それを民間に丸投げするというのは完全に論理破綻しています。

そもそも何故民間試験を利用するということになったのか。

それは従来のテストが時代にあっておらず、民間試験の方が優れているからでしょう。だからと言って民間に丸投げするというのは完全に怠慢であり、仕事を放棄しています。そうではなく、民間試験に倣い、試験内容を改善すべきです。

そして当然以下の記事にある問題も起こります。

https://zendaikyo.or.jp/?action=cabinet_action_main_download&block_id=809&room_id=1&cabinet_id=17&file_id=6865&upload_id=19926

具体的には運営上の問題,利権の問題,不公平感を与える問題などです。

 

では具体的にどう変えればいいかというと、まず試験項目を次のように分類します。

①コミュニケーションのための英語

②論文を読解するための英語(英語基礎)

③論文を読解するための英語(英語発展)

そして大学側が①~③の組み合わせ選択できるようにします。

①ですが、これはリスニングの配点を多くし、続いて日常英単語の知識と会話文の読解程度でいいでしょう。思考力は問うべきではありません。スピーキングや作文能力などは採点が困難なため共通テストで考える必要はありません。これらは教師の質、学校の授業、教科書の質を改善することで対応すべきです。

会話をするためには、思考力ではなく例文や単語をどれだけ反復、詰込み、暗唱したかで決まり、それを問うようにすべきです。それを問うにはリスニングテストが最も有効であり、リスニングは6~7割くらいの配点にすべきです。

②は従来のセンター試験の方針でよいと思いますが、底辺の底上げということを考えると難易度が高すぎ、易しくすべきだろうと思います。また読解する速度には個々により激しい差があり、制限時間を延ばす措置も必要だろうと思われます。

これはすべての科目で言えることですが、短時間で解くことを課すのなら、読む速度、解く速度が速い人ほど有利であり、そうでない人はどうせやっても無理だと考えやる気をなくさせます。読む速度、解く速度はある程度訓練で何とかなりますが、脳科学でも明らかなとおり、脳の質は3歳まででほとんど決まるため、のちの努力では改善が大変難しい。したがって短時間で解くことを課すのは大変不公平と言えます。

 

前述の通り国が考えることは底辺の底上げであり、常に弱者の目線に立つべきです。基礎学力以上は個人の意思と各大学の理念に任せるべきであり、試験においては国が主導して行うべきではありません。とにかく余計なことはせず、リスニングの配点を割と極端に上げるだけでも日本人の英語力は向上すると考えられます。それをふまえて見直していただきたい。

 

大学入学共通テストにもの申す(1)はこちら

http://soyokaze-biz.hatenablog.com/entry/2019/10/26/010730

大学入学共通テストにもの申す(1)

文部科学省の皆さんは以下必ず留意ください。

国主導で行う試験をやる意味とは何か。それは民間で補えないもの、民間で補おうとするとコストが大幅にかかるものは税金を使ってやるべきでしょう。原点はここですよね。ここを忘れていろいろやろうとするからおかしいことになるのです。

例えば英語であれば、良質なリスニング問題を作ることは大変手間でコストと時間がかかりますから、これを国が全面的にやってくれれば大学にとっては大変助かるはずです。

基本的には学生達は基礎学力さえつけさせれば、あとは自分たちで勝手に自分たちの目標に向かって歩きはじめるため、国は基礎的試験に徹し、余計なことをあまりせず、基礎以外の部分に関しては各大学の試験に任せるべきです。

基礎を中心にすれば、東大を受けるような優秀な学生はみんな満点をとってしまうでしょうが、それで構いません。大学独自の試験で勝負させればよいだけです。

一方偏差値40程度の大学の場合はどうかと言えば、これは大変ありがたいはずです。場合によっては学科試験は共通テストのみで運用でき、実技や適性テストの準備に時間を割くことができるからです。現状では多くの低偏差値大学では今までのセンター試験は難易度が高すぎ、独自問題を作らざるを得ない状況があり、これは多くの人の時間と労力が無駄になっています。

国がやることは弱者救済であり、底辺の底上げです。やってはいけないことは、能力の高い人に合わせて、あるいは能力の高い人を選別するようなことです。それは各大学がやるべきことであり、国が主導してやるべきことではありません。

 例えば記述問題を増やして思考力を問う問題を作ろうとする動きは、完全に能力の高い人に合わせようとする考え方です。これは基本的に誤りです。

 私は個人塾で中学生に主に数学と英語を教えていますが、結局できない子の多くは小学で習う読み書き計算でつまづいており、原因をよく考えると、小学校算数の教科書では小難しい考え方を押し付け、計算の基礎を反復することがおろそかになっているという結論に達します。私に言わせると小学の算数の教科書では不要なことが多すぎます。

 また、ある報道で、某低偏差値大学において、英語の授業が中学レベルであることに文科省が文句をつけているという滑稽なものがありました。文科省は全く論理が破綻、自己矛盾に気づいていません。それは生徒のレベルが低すぎてついてこれないからそうしているわけで、その原因を作っているのは主に文科省です。結局これも同様に小学から高校で習う読み書き計算の反復、詰込みに重点をおかない方針をとったことが原因です。

 結局文科省は、詰め込みがいけないという批判に迎合し、余計なことをしすぎています。私に言わせれば、詰め込みがいけないという考えは教育の素人の言うことです。基礎学力がないから、その他の高度な能力が育たないのであって、国が直接的に高度な能力を育てようとするのは矛盾しています。

 

 

大学入学共通テストにもの申す(2)はこちら

 http://soyokaze-biz.hatenablog.com/entry/2019/10/26/182259

経済テスト模範解答

(1)イ

貸出残高が減少するとは、企業からの返済が多く、お金は銀行に流れてしまっていることを意味する。したがって減少

(2)イ

マネーストックの減少はデフレへ移行していることを意味し、物価減となる。したがって個人資産価値は相対的に上がり、その上がり方は資産が多いほど大きい。

(3)ウ

銀行を経由しないため、マネーストックは変化しない。クラウドファンディングやメルカリなどの仲介業が増えることは、みんな貧乏になっている証拠である。つまりデフレの特徴と言える。

(4)イ

これは(1)と同義である。(誰かの現金負債額)=(誰かの現金資産額)であることを考えれば当たり前。

(5)イ

政府の負債を減らすことは通貨をこの世から消すということ。したがって当然マネーストックは減少する。これはインフレで通貨量が過剰なときに行う政策で、安倍政権はデフレなのにこれを行ってしまった。デフレなら物価減で相対的に個人や法人の資産価値は上がるため問題ないと考えがちだがそうではない。その根拠は以下を参照。

http://soyokaze-biz.hatenablog.com/entry/2019/10/25/131657

(6)イ

根拠は以下を参照

http://soyokaze-biz.hatenablog.com/entry/2019/10/24/152921

(7)ウ

政府は国債を発行しお金を調達する場合がある。国債とは現金同様、現金の貸し借りの記録であり、政府が国債を買い上げるとは、政府が借りていたお金を返すことである。

国債を政府が買い上げても、各銀行、保険会社などの資産が増えるだけでマネーストックは微量に増えるだけ。おおざっぱに言えば銀行の日銀口座の残高が上がるだけ。この残高が上がったからと言って、銀行の融資が進むわけではない。経済が上向くかどうかは人々の購買意欲が増すかどうかであり、銀行の現金資産が増えればその購買意欲が増すという論理は成り立たない。

(8)資産の少ない人に政府が通貨を配ることである

通貨量が増加すればインフレとなり物価増となった分通貨価値は下がる。よって資産の少ない人に絞って現金を配れば、資産の多い人のみ相対的に資産を減らすことができる。資産を配られた人は、現金資産が増えた分と物価上昇で実質現金資産は一定ということになる。

 政府が現金を配りすぎると人々は働かなくなり生産性、供給能力が落ちるためよくない。しかし子育て世帯、低所得者に絞って段階的に絞る分にはそれほど問題にならないはずである。それよりも働かずとも資産を増やす人の方が問題で、第一に短期投資で荒稼ぎをしている人、第二にサービスや人材を仲介する企業が問題である。このため、それらの収入についてはある程度高く課税すべきでしょう。

(9)現在使われている「財政が健全」という概念は存在しない

詳細については以下を参照

http://soyokaze-biz.hatenablog.com/entry/2019/10/24/110638

 

思考力を試す経済のテストを考えてみた

マネーストックとは銀行以外の個人と法人の現金資産である。簡単に言えば人々が自由に使えるお金の量。なお個人や法人の銀行への預け入れ金はマネーストックに含まれる。このことに注意して次の問いに答えよ。

 

(1)全市中銀行の貸し出し残高の総額(国債は含まず)が減少しているとき、マネーストックは…
ア.増加している
イ.減少している
ウ.変わらない


(2)資産家・超金持ちにとっては…
ア.マネーストックが増加するほど有利である
イ.マネーストックが減少するほど有利である
ウ・マネーストックが変化しないとき有利である

 

(3)Aさんがクラウドファンディングによって100人から合計1000万円の融資を受けたとき、マネーストックは…
ア.増加する
イ.減少する
ウ.変化しない


(4)世界中の多くの企業が借金を完済し、無借金企業が急激に増加したとき、各国のマネーストックはどうなるか。
ア.急激に増加する
イ.急激に減少する
ウ.ほぼ変化しない

 

(5)日本政府の負債(財務省が煽る国の借金)を、税収によって限りなくゼロに近づけたとき、日本のマネーストックはどうなるか。
ア.極端に多くなる
イ.極端に少なくなる
ウ.ほぼ変化しない

 

(6)法人税増税すると、従業員の給料は…

ア.下がると考えられる
イ.上がると考えられる
ウ.上がるとも下がるとも言えない

 

(7)政府が金融緩和政策を行うため、民間から国債を多く買い上げた場合、経済状況はどのように変化すると考えられるか。

ア.インフレになると考えられる
イ.デフレになると考えられる
ウ.上記のうちどちらになるとも考えられない

 

(8)巨額の資産を持つ人に対し、課税せずともその資産を減らし、格差を縮める方法を考えよ。(論述)

 

(9)政府の財政が健全かどうかはどのように判断できるか。(論述)

 

 

 

模範解答はこちら(あくまで管理人の解答)

http://soyokaze-biz.hatenablog.com/entry/2019/10/25/154032

 

デフレにおける人々の心理を考察する

デフレが何故悪と気づかないのか。

例えば売る商品の価格を初め10万円とする。しかし1週間しても売れないので9万円に、2週間たっても売れないので8万円に…これを繰り返し6万円でやっと売れたとする。すると入金までに時間がかかり、結果的に人々の給料が全体的に下落。結果みんな自信を無くしていく…

一方緩やかなインフレであればどうか。6万円の価格設定をしたら即完売。売り手は「何だ7万円にしておけばよかった」と思い、次は7万円に。それでも即完売。こうなるとデフレのときよりも入金スピードが断然速い。結果みんなが自信を持ち始め、経済活動が活発になっていく。

つまりまずここで言えることは現代の主流派経済学で、デフレを悪としない考えは完全に誤りと言える。マネーストックには伸縮性があることは他の記事でも説明した通りだが、企業の多くが借金を返済するとマネーストックは減少し、個人の資産は全体的に下がる。結果貧乏になったという心理が働き、消費が鈍る。これを回避するためには、常にマネーストックは緩やかに増加し、緩やかなインフレが起こっている必要がある。


さて、物質が満たされるとやがて人々のものへの執着が無くなる。すると次は精神を満たす欲求が沸く。今はその過渡期と言え、人々は物質ではなく時間を欲し始めている。趣味の時間、真理を探求する時間、芸術を極める時間、学問を学ぶ時間…つまり働く時間を極限まで短くし、自分の時間を増やしたいという欲求…
この人々の時間を奪うのもやはりデフレであると言える。物価が下がるほど安物があふれ、それらは当然寿命が短いので、それを補うため新たな安物を生産する。これにより人々の拘束時間が増す。

しかしインフレ傾向にある経済の場合はどうか。高くても売れる見込みがあるのなら、寿命が3倍のものを3倍の値段で売れる。すると寿命が延びた分、ものの生産量が減り、人々の拘束時間は激減する。このように考えると、デフレがいかに悪で、緩やかなインフレがいかに善であるかということが推測される。

つまり現代の主流派経済学は根本から間違っていることになる。

 

 

法人税は高いのが正常

経済を鈍らせる原因の一つが企業の内部留保である。このお金は法人が経費として使えるお金であり、社長が個人的な買い物をすることができるお金ではない。つまり使い道が相当限られていると言える。よってこの企業の内部留保が増加すれば当然個人資産が減少することになり、デフレを加速させる原因となる。

この内部留保を悪とする思想を持つのであれば法人税は高くする必要がある。

法人税額はざっくり言えば次のような式となる。

法人税額={(売り上げ)ー(人件費などの経費)}×法人税

企業Aのある年の売り上げが1億円で、経費は8000万円とする。

このとき法人税が20%なら、

法人税額=2000万×0.2=400万円

一方法人税額を90%とするなら、

法人税額=2000万×0.9=1800万円

仮に90%なら経営者は何を考えるか。1800万円も税金でもっていかれるなら、経費を無理やり上げることを考える。給料を上げたり設備投資をするなど。少なくとも給料が上がれば個人消費を押し上げるため、経済にとって良いことは間違いない。

 

そして経営者団体側にも申し上げなければいけないことがある。

それは企業は負債を持ち続ける、あるいは膨らませ続けることが経済にとって重要であるということ。マネーストック(流通貨幣量)の話は何度もしているため割愛するが、企業は銀行からお金を借りるとマネーストックは増加し、借金を返済するとマネーストックは減少する。何故かは論理的に考えれば誰でもわかる。

銀行から借り入れをしても、その銀行に預金をしている人のお金は減ることがない。つまり通帳に借入金が記載された瞬間通貨が発行され、マネーストックが増加する。逆に返済をすると、その分流通貨幣量が減り、全体的にそれが起こればデフレ経済となってしまう。

要するに大企業ほど負債を維持、あるいは膨らませ続けなければ経済は失速することになる。逆に考えれば企業にとっては負債を維持し続けることが社会のためとなる。このように考えればたとえ法人税が上がったとしても、思い切って設備投資や人材投資のための借金がきるのだろうと思われる。

 

量的金融緩和でインフレになるわけがない

金融緩和…我々経済の素人にとってよくわからない言葉だ。これをかみ砕くと、お金の存在量(マネタリーベース)を増やすことで、お金の循環を良くしようという考え方の様だ。

金融緩和として、以下のような政府が国債を買い上げる量的金融緩和政策を行ったことがあった。

https://www.daiwa.jp/glossary/YST2458.html#targetText=%E9%87%8F%E7%9A%84%E7%B7%A9%E5%92%8C%E7%AD%96%20%EF%BC%88%E3%82%8A%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%8B%E3%82%93%E3%82%8F%E3%81%95%E3%81%8F%EF%BC%89&targetText=%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%81%8C%E3%80%81%E6%99%AF%E6%B0%97%E3%82%84,%E9%87%91%E8%9E%8D%E7%B7%A9%E5%92%8C%E6%94%BF%E7%AD%96%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%80%82&targetText=%E5%85%B7%E4%BD%93%E7%9A%84%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%80%81%E5%85%AC%E9%96%8B,%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

 

もちろんこれでデフレ脱却とはならなかったが、この手法、ややわかりにくいので少し説明をしておく。

まず一般に市中銀行(民間の銀行)は日本銀行に口座を持っており、日銀から低金利でお金を借り、そのお金を高金利で企業や個人に貸して儲けている。銀行はお金を貸す相手が見つからないと、最終的には国債を買って金利を稼ぐほかなくなる。

仮にA銀行が1億円の国債を買うと、A銀行の日銀口座から1億円が消える。この消えたお金は政府に貸したということになり、時間の経過とともにA銀行はこの貸し出しによる金利を稼ぐことになる。

 

ここで、政府がその借りたお金を無理やり早めに返したとする。つまりこれは国債を買い上げたということ。そうするとA銀行の日銀口座には1億円が戻ってくる。つまり日銀の口座にお金が増えたということになる。このお金が増えたことで果たして物価は上昇するのか。

よく考えると、銀行はお金を借りたいという人が少ないため、やむなく国債を買っているわけで、それを無理やり返されてもどうしようもないだろう。つまり、この金融緩和政策でインフレになるわけがない。

マネタリーベース(お金の存在量)が増えるのはいいが、そのお金がどこにとどまっているかが問題で、銀行にとどまっているのでは全く意味がない。よって、日銀や政府が考えるマネタリーベースを目標とした金融緩和政策は完全に誤りと言える。何故マネーストック(銀行以外が持っているお金の量)を考えないのか…

 

次にアベノミクスの金融政策とは何だったのかを考えてみたい。具体的には以下の記事を参照。

https://www.findai.com/yogo001/0058y01.html

これをかみ砕くと、国債を保持する時間を長くして、国債を持っている銀行などに金利をいっぱいあげますよ、とか、政府が投資信託で投資を増やし、お金の量を増やしますよ、というもののようだ。これを行うと、お金に困った貧乏な人のお金の量は増えるのか。

前述の通り、銀行のお金が増えてもマネーストックは増加しないので無意味。そして投資信託を政府が行っても、そのお金は巡り巡って配当金が投資を行っている裕福な人に行く。つまり格差が拡大するだけである。政府が投資信託を行えば株価上昇に多少寄与するだろうが、そもそも株価が上昇すれば必ず企業の業績が上がるわけではない。株価とは、借用証(株券)の価値を表しているに過ぎないからだ。上場企業に対する人々の期待が高まるから株価は上がるわけで、それを政府が無理やり株価を上げて何の意味があるのか…