高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

気づいてしまった...人類のとんでもない勘違い①

経済について私なりの思考実験を行った。(間違っていたらご指摘ください)

話を分かりやすくするため、国民が100人しかいない小国Aを考える。この小国Aに流通している全体の通貨量は100万円とし、中央銀行以外の銀行は存在せず、貿易収支は常にゼロで、外国との為替取引はないものとする。また、国外への国民の流出、国内への外国人の流入はないものとする。

 この国の政府は、流通通貨量の少なさの不便さを解消するため、50万円の通貨を発行(中央銀行政府当座預金をもとの残高+50万円へとパソコンで書き換える)を行う。この発行した通貨を使って、老朽化した道路や水道管の工事、介護福祉士給料の増分などに使うことにする。

 この発行した通貨は政府の負債であるとみなし、50万円の国債を発行する。→①ここがおかしい。

ここで数人の金持ち国民が国債を買う。

政府は10年後、その負債を完全にゼロにするために、増税する。10年間で政府が払う国債利子は計10万円とする。

  

10年後、政府の負債をゼロにしたとき、どうなっているか?

まず、政府から仕事をもらった人の分で流通通貨量は+50万円。

税金で借金返済に当てた分で-50万円。

トータルで小国Aで流通する通貨量の増減は±0円→通貨総量は元に戻ってしまった…

 

しかしこの10年間は、金持ちが買った国債分で、国民の使えるお金が50万円減っており、増税分(=国債の利子)を無視すると、国民が使えるお金(実質通貨流通量)はざっと見積もって100-50=50万円。

 

このように国債を買った分、国民が使えるお金が減った上、政府に移動した税金が負債を減らすたびに流通通貨が消滅し、少ない通貨を国民で分け合うことになり、国民全員の給料が減り、結局消費が格段に落ち込むことになる。

 日本が50年前の流通通貨量になったらどうなるでしょう。大卒の初任給は3万円くらいになります。

 

さて、政府は負債50万円+利子10万円を税金ですべて回収し、国債を買った金持ちに10万円の利子分配が完了したとき、どうなるか。結局小国Aの流通通貨量は元にもどり、利子の10万円は国民全体からその金持ちに移動する。つまり富は分配どころか、格差が開くことになってしまう。

 

 

 ●果たして①の発行通貨は政府の負債として計上すべきであるか…

 もしこれを負債とみなさないとするなら、国債利子の支払いも増税も不要で、かつ国民の使えるお金の総量が増加し、国民はお金を稼ごう、あるいは使おうと、意欲的になるでしょう。

 つまり、過剰なインフレにならない限り、消費増税は不要(ゼロでも問題ない)と言えます。公務員の給料が足らなくなっても発行した通貨で補って問題ないわけですから。過剰なインフレになりかけたときは、増税をしたり通貨発行量を抑え、流通通貨量(あるいは発行通貨の増加量)を減らせばよいことになります。具体的には政府が発行した累積通貨を回収した税金で相殺すればよいでしょう。つまり、累積発行通貨額が1000万円で、減らしたい通貨が40万円だとしたら、税金40万円を通貨消滅分として計上し、累積発行通貨額を960万円とすればいいでしょう。これで国の通貨総量を減らすことができます。このように経理処理することで使えるお金が減って、通貨の流通量を減らすことができます。

 

もうお分かりの通り、結局財務省が煽る国の借金とは、借金でもなんでもなく、単なる

通貨発行量=国民の間で流通する通貨の増加量

に過ぎない。要するに政府の負債は国民の預金の増加分ということになる。

 今まで日本政府は膨大な通貨を発行して流通させているのにインフレどころかデフレになっているわけで、これは通貨発行量が足りていないことを意味します。仮にそれを借金とみなし、税金ですべて負債ゼロの状態に戻すと、国民に流通する通貨の総量は激減し「大卒初任給3万円」という現実が来ることになります。

もしも、外国にしかない商品、サービスを政府が買わなければいけないとき、あるいは為替介入で円の価格を維持するとき、外国からお金を借りる必要性(外貨建ての国債発行の必要性)がでることもあり、その時はまさに政府の借金と言える。しかし日本はすでにあらゆるサービスが充実していることから、その必要があまりなく、実際は外国からの借金はほぼないのが現状。

 結論としていえることは、自国通貨を発行するとき、自国通貨建て国債を発行しなければいけないというのは人類の勘違いと言えます。もしも発行通貨を負債とみなし、税金ですべて回収し負債ゼロの状態に戻せば、発行したお金はすべて政府のもとに戻ってきてしまい、何のために通貨を発行したのかわからなくなってしまいます。通貨はありすぎると貨幣価値が下がり混乱しますが、なさ過ぎたら不便で、かつデフレになります。まさに今がデフレであるので、その場合通貨を発行した意味がないということです。

 流通通貨が多いとよいことがあります。それは経済活動がしやすくなるため、頑張った人は頑張っただけ裕福になれ、普通の人は普通、あまり働きたくない人は質素な生活…と選択の自由が増えることにあるでしょう。しかし通貨量が減ると、みんなが財布のひもを締めだすため、頑張っても報われず、少なくとも頑張るという選択肢が無くなってしまう。インフレのみを恐れていると、このような単純なことに気づかなくなってしまうのでしょう…

 なお、発行通貨は誰に分配するか、それが政府の腕の見せ所と言えます。これによって経済力が左右すると言っても過言ではないでしょう。政府の役割は弱者の救済であり、国の経済力の底上げですから、預金が少ない年金受給者の受給年金を上げたり、介護福祉士や保育士の給料を上げたり、老朽化だらけの水道管の工事などを行っていくべきでしょう。

 

 

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