導出物理では交流回路を複素数を用いて計算することを推奨しています。その方が覚える量が圧倒的に減ります。ただし、数学で複素数の性質をしっかりやってからでないと理解できません。でもご安心を。導出物理では最低限の複素数の解説と練習問題をつけていますので誰でも習得できます。
さて、若干厄介なのが、極形式です。これが長いので計算が多いとうざいんです。
z=|z|(cos(偏角)+isin(偏角)) ※eはネイピア数
複素数z=a+biは必ずこの極形式の形に変形でき、これを使うことが重要になります。
しかし、式が長いです。そこで導出物理では一応オイラーの公式を載せました。
オイラーの公式:e^i(偏角)=cos(偏角)+isin(偏角)
これを使うと、複素数zは次のように表されます。
z=|z|e^i(偏角) ※^は指数を表す
これでだいぶ短くなりました。数学の問題でも楽なことがあるかもしれないので計算で使ってしまってもいいかもしれません。ただし証明で使うのはNGです。高校の教科書で証明できない公式を使うのはさすがにまずいです。
さて、オイラーの公式を証明するには大学で近似式の詳細を習わないといけません。
近似式によって、e^x,sinx,cosxは無限級数の形で表すことができます。
これによって似たような式が出てくるので、いろいろ消去するとオイラーの公式ができます。もちろん高校数学の範囲での証明はできません。
余談ですが、この公式はよく「美しい」と言われます。しかし私は別にそうは思いません。虚数単位とは人間が勝手に定義した道具にすぎず、その定義をもとにいろいろ計算してみたら、そうなったというだけですから。それよりも大学で習う近似式の方がすごいと思います。よくこんなことを発見したなぁとつくづく感心します。
こんなことを書くと近似式の勉強をしようとする人がいるかもしれません。しかしそこまでやるのはさすがにやり過ぎですので、お楽しみは大学に取っておきましょう。そんなに焦らなくてもほとんどの大学(理系)で習うことですから。それよりも目の前の入試を突破できなければ、そのお楽しみは味わえないので、くれぐれも本末転倒にならないようにしましょう。