高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

偏差値40台から理工系大学を目指す(2)

 付属高校からスライドするのが一番簡単であることを言いましたが、一般受験する場合はなかなか大変です。まずは物理よりも数学が何とかなるかどうかです。数学がどうにもならなければ文系を考えたほうがいいです。ポイントは第1に計算力を死ぬほど鍛えることと、第2に学校で購入した問題集をしっかり練習することです。なぜ学校で購入した問題集かといえば、それが自分のレベルに最も合っているからです。学校側はもちろん生徒のレベルに合わせて問題集を選んでおり、易しいレベルの学校専用教材は難問を一切排除して基本に絞ってくれているので、最も効果的なのです。

 

 ところで、一般大学だけを考えるのではなく、短大や専門学校など広い視野で進路を考える必要があります。例えば私の地元千葉では厚生労働省所管の職業能力開発短大なんていうのもありまして、私の塾の生徒もここに行った子がいます。その子は高校では文系コースでしたが、建築をやりたいということで、この短大を目指すことになりました。確か当時は数学ⅠAⅡBまでの範囲だけを勉強して合格したと思います。短大でも2級建築士受験資格が得られますので、こういうところは結構穴場かと思います。また、私の知り合いでは専門学校を出てプログラマーシステムエンジニア)として活躍している人もいます。専門学校でもしっかり手に職がつきますので、敬遠しないほうがいいです。ただし、専門学校の場合はネットで評判などをよく調べる必要があるかと思います。

 さて、数学をまずやってみてそれだけでいっぱいいっぱいであった場合は、数学と英語だけで受けられるようなところを選んで受験するといいでしょう。特に情報学、システム工学、経営工学、理学部(応用数学科)のような学部は物理を使う要素が低い場合があるので、易しいところなら英数のみで受験できるところもあるでしょう。どれもコンピュータープログラミングが中心になってきます。

 プログラミングといっても色々あり、機械やロボットに移植していくプログラムやネットワーク、情報セキュリティ関係、データベース、統計関係、サーバーの構築、ソフトウェア(アプリ)関連、WEBプログラミング、ゲームプログラミングといろいろあり、これらの学部(学科)は、機械やロボットを扱わないようなプログラミングになってくるので、物理というよりも、もろに数学的な思考力が要求されます。私も独学でエクセルのマクロ機能を利用して成績管理ソフトを作りましたけど、高校で習った等差数列はもろに役に立っています。

 

 次に物理を勉強する余裕がある人ですが、建築、機械関係を目指す人は力学を集中的に、電気、電子、エレクトロニクス関係の目指す場合は電磁気を集中的に勉強するといいでしょう。物理の分野は主に力学・電磁気・波動・熱・原子と分かれ、出題率が最も高いのが力学と電磁気です。最も低いのが原子ですが、医療工学や理論物理学(主に理学部物理学科)を学ぶ場合は直接関係のある範囲です。

 したがって、力学と電磁気学に絞って学習し、波動や熱は公式に当てはめれば解けるような簡単な問題に絞って練習するといいでしょう。具体的には、まず「導出物理基礎」を完璧にすることです。易しい大学は物理基礎の内容が中心になりますので、この問題集に絞って練習してください。そして、過去問を見て、必要と思われる範囲を「導出物理」で見つけて、公式に当てはめれば解けるような簡単な問題のみを解いていくといいでしょう。

 

 ただし、それでも判断を間違える可能性もあるので、物理の先生や塾の先生に、過去問と問題集、参考書を持って行って、過去問の傾向からどの問題集のどこからどこまでやればいいのかを尋ねたほうがいいでしょう。もちろん過去問のレベルが自分に合っていないと言われれば、志望校を考え直すことも必要です。

 

 

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偏差値40台から理工系大学を目指す(1)

 私の生徒(A君)での成功例をお話しします。彼は私立の某マンモス大学の付属高校に入学し、週1回私の塾で数学と物理を習いに来ていました。高校の偏差値は40半ばで、出来のいい子とは言えませんでしたが、割と素直だったので助かりました。塾でやっていたことはほぼ学校の教科書、問題集、プリントです。私の講義は15%程度で、85%くらいは問題を解かせ、その都度わからないところを教えるというスタイル。「導出物理」は主に調べ用に使い、試験前に導出物理の知識問題、正誤問題を少しやる程度で、大半は学校のプリントをやっていたと思います。試験前は、学校のプリントの同じもの3枚くらいコピーして、家で繰り返し反復してもらいました。それで物理や数学の試験は大体80~90点台をとっていました。初めの学年順位は120番程度でしたが、最終的には30番台になりました。付属高校の場合、そのまま大学にスライドできるかどうかは学校の定期試験、実力テストで決まるので、無事希望していた機械関係の学部にスライドできました。(スライドなのでもちろん一般受験はしていません)

 偏差値45程度であれば、A君のように付属高校に入り、塾に通って試験で高得点を取って、そのままスライドするのが最も楽だと思います。部活(運動部)もやりながら希望の学部にスライドできたので学校生活も充実していたと思います。

 大学に入った後も少しA君から話を聞きましたが、大学の授業にはついていけているようです。まぁ塾で微積の計算などはさんざん練習したので大丈夫だろうと思います。彼は週1でも個別塾に来ていたことは大変大きかったと思います。もし私の塾に来ていなかったらまずこう簡単にはいかなかったと思います。中学で習うことの抜けていることも多かったですし、文章や人の話を理解する力が弱く、たびたび頓珍漢なことをやっていたり、何度同じことをやっても理解できないことも多かったですから。本当に私の塾に来ていないと思うとゾッとします。

 

  ところでこれはA君に聞いたことですが、彼の友達にすごく勉強熱心な子がいたそうで、毎朝学校に早く来て、教室で勉強していたそうですが、試験ではまるで点数が取れていなかったそうです。どうもノートにひたすら書き写して暗記していくような勉強をしていたようですが、偏差値40台の子が独学しようとすると、こういう結果になりがちです。つまり正しい勉強の仕方や情報の絞り方がほとんどの場合自分では判断できないのです。(文系科目に強い子で、数学の対策をする場合もその傾向が顕著)

 ですから個別塾や自習型の塾に通って定期試験対策をすることが重要になります。しかも理系の場合、高1からでないと全然間に合いません。私の経験では、高3になってから数学や物理を習いに来る子の70%くらいはどうにもなりませんでした。つまり手遅れということです。高1~2で習うことを復習しながら受験対策をするなど、どう考えても時間的に無理だからです。30%は何とかなりますが、そういう子は高1~2で習ったことの基礎は割とよくできています。

 

 実は高2の中頃から後半くらいになると、多くの子が理系は無理だと思い始めます。私から見て、理系に進んでもやっていけそうな子でも自信を無くすのです。その原因のほとんどは中学の数学と高1の数学でつまづいていることが挙げられます。

 一方偏差値40台のA君は高1~高3まで私の塾で勉強をしました。すると、計算などは塾に通っていない偏差値58程度の高校の子よりもできるようになったのです。ですから高1から対策を立てることがいかに重要かということがわかると思います。失敗する子の多くは高校受験を突破したことで安心してしまって、高1から何も対策を立てないのです。(難関私立高校の場合は塾や予備校のような指導をしてくれることが多いので、その辺はあまり考えなくてもいいのですが)

 

 さて、高1からは特につまづきやすい数学だけでも塾に通うべきだと思いますが、やはり注意が必要です。A君の友達で、塾に通っていても全く成績が上がらない子がいたそうですが、塾もしっかり選ばないといえません。得意科目などは集団塾やサテライト授業でもいいのですが、苦手科目は個別や自習型や少人数制でないとだめです。理由は苦手科目ほど本人のペースでできないとつまづくからです。ただし個別指導塾などでも駄目なことがあります。

 例えば素人の塾では、本人のレベルを考えることなく市販もしくは業者のテキストを使って、誰でも同じようなメニューを立ててしまいます。これでは成績はなかなか上がりません。また、成績を上げることについてあまり知識がない大学生に指導を丸投げしてしまっている場合もあります。指導する大学生が優秀でも、本人がやってきた勉強の仕方が万人に通用することはないので、当たり外れが出てきます。

 私の場合は本人のレベルに合わせて、臨機応変にメニューを決めます。A君の場合は学校のプリントや学校で買った問題集をやることが一番いいと思ったのでやりました。私はまったく優秀ではなく、予備校の先生のように難関大学の問題を解説する能力はほとんどないですが、成績を上げるための知識と経験があります。だから本人に合わせたメニューを考え、伴走するだけで成績が上がるのです。

 このように塾や予備校はどこでもいいというわけではありませんし、評判が良いところを選べばいいというわけでもありませんので注意が必要です。

続く 

 

●塾の選び方や高1からの計画に関する相談もやっています。詳しくはこちら

  

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導出物理は授業についていけない大学生にも最適

最近は少子化が進み、私たちの時代に比べればあまり勉強をしなくても大学に入れる時代になりました。そこで甘く考えて理系大学に進むと、授業についていけない、実験が何をやっているのかさえ理解できない…なんていう結果になります。そして試験勉強と実験レポートに日々追われ、精神的に追い込まれていきます。そのため推薦などで入った学生は大学を去っていくという話はよく聞くことです。

 大学に入ればわかりますが、高校で習う内容から一気にレベルが上がります。ですから、易しい私大の学生は、高校の参考書から勉強している人も多いです。そうならないためにも、もっと高校から本気になって勉強していただきたいと思います。ただ仮にそうなってしまったのなら「導出物理」を熟読し、練習問題もしっかり解いていくことを強くお勧めします。

 ところで「導出物理」は頭のいい人がやる教材、情報が多すぎて使いにくい、などと思っている人もいるようです。しかし、大学のレベルで考えれば「導出物理」程度の内容や高校で習う微積などは、小学校の掛け算九九みたいな内容です。しかも、「導出物理」は他の参考書と比べれば過保護の中の過保護と呼べるくらい丁寧に説明しています。それにもかかわらず、難しい、わからない、と弱音を吐いているなら、理系大学の進学はおやめいただいたほうがいいです。厳しいことを言いますが、そんな生ぬるい考えでは、大学には受かっても授業についていけません。

 ただしです。偏差値40台の高校から一般試験で理系大学を目指す場合はどうするかという問題があります。少子化が加速する中、このようなレベルの学生でも日本を支えていただくために、多くの人に技術者になっていただかなければいけません。このレベルの学生は、残念ながらほとんどの場合「導出物理」を全部終わらせるだけの読解力、理解するスピードはありません。ではどうするかということですが、これは非常に難しい問題ですので別の機会に記事にしたいと思います。

 

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宇宙が膨張するって、どゆこと?

 

例えば夜空の全ての星は地球から遠ざかっていて、星どうしも互いに遠ざかっていたとすればどういうことが考えられるでしょうか?空間自体が広がり続けていると考えられますね。それが宇宙が膨張しているということです。

では、何故そんなことが分かったのか。もちろん根拠があります。

高校物理ではドップラー効果というものを習います。救急車のサイレンは自分に近づいているときは高い音に聞こえ、遠ざかるときは低く聞こえます。これがドップラー効果。音は波ですが、波源が動いていたり、観測者が動いていたりすると、このドップラー効果による現象が観測されます。

 光も波の性質があります。(粒子の性質もありますけど)そして、地球上でいろいろな星からの光を調べると、光のドップラー効果が観測されたのです。これが宇宙が膨張しているという根拠であり、20世紀最大の発見の一つとされます。具体的なことは導出物理に書いたので読んでください。

 それで宇宙が膨張しているということは、宇宙の体積は初めゼロだったと考えられます。そのゼロから私たちの知っている宇宙空間が始まったことがビッグバンと呼ばれています。現在ではビッグバンが何年前に起こり、現在の宇宙の体積が何立方メートルなのかが計算されています。ホントすごいことですよね。

 じゃあ、宇宙が始まる前はどんな世界だったの?とか宇宙の外側ってどうなっているの?なんて思う人も多いです。それは一言で言えば、私達が知っている空間とは異なる世界、としか言いようがありません。物理学者は、宇宙の外側には別の宇宙がいくつもある、とか、宇宙が始まる前は、波動?(みたいなもの)がうごめいていた、とかいろいろ研究しているようですけど、とりあえずそれがどうかなんて、私達が悩むことではないですよね。学者さんに任せておけばいいことです。個人的には「4次元の世界」(霊界)または、「5次元の世界」(神界)じゃないかと思いますけど。(ほとんど宗教概念(笑))

 それよりもまずは高校物理を勉強して、目の前の入試を突破することを考えましょう。

 

 

 余談ですが、深見東州(霊能者で神霊家)という人が書いた「人類が生まれた秘密を明かす」という本だったかどうか忘れましたが、その人の本によると、宇宙が生まれたのはス神(根源の神)の「かくあれかし」の一念(こうあってほしいという思い)によって生まれた、とのこと。他にも、より次元が下がっていく世界ができることで、苦しいけど魂が大きく成長できる機会ができた、みたいなことをいっていたと思います。

 古くから優秀な学者ほど、キリスト教などの信者が多かったそうですが、それは人類はどう考えても偶然生まれたとは考えられない、と思っていたからだそう。(もちろんこのことは現代の学者さんでも思っている人もいます)例えば現代でさえ、新しい植物や動物をゼロから生み出すなんてことは人間にはできないですよね?できたとしても既存の生物の遺伝子を組み替える程度です。だから、人知を超えた神なる世界があると信じることは当然のことだろうと思います。

 物理学は自然や宇宙の規則性や法則だけを扱う学問であり、人知によるものです。だからそれを超えたものを考えようとすると思考の迷路に入っていきます。学問は人知によるものだと割り切り、それを超えたものは宗教に任せる。そういう立場の方が合理的であると私は考えます。

 

 

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交流回路とオイラーの公式

導出物理では交流回路を複素数を用いて計算することを推奨しています。その方が覚える量が圧倒的に減ります。ただし、数学で複素数の性質をしっかりやってからでないと理解できません。でもご安心を。導出物理では最低限の複素数の解説と練習問題をつけていますので誰でも習得できます。

さて、若干厄介なのが、極形式です。これが長いので計算が多いとうざいんです。

z=|z|(cos(偏角)+isin(偏角))  ※eはネイピア数

複素数z=a+biは必ずこの極形式の形に変形でき、これを使うことが重要になります。

しかし、式が長いです。そこで導出物理では一応オイラーの公式を載せました。

オイラーの公式:e^i(偏角)=cos(偏角)+isin(偏角)

これを使うと、複素数zは次のように表されます。

z=|z|e^i(偏角)   ※^は指数を表す

これでだいぶ短くなりました。数学の問題でも楽なことがあるかもしれないので計算で使ってしまってもいいかもしれません。ただし証明で使うのはNGです。高校の教科書で証明できない公式を使うのはさすがにまずいです。

 

さて、オイラーの公式を証明するには大学で近似式の詳細を習わないといけません。

近似式によって、e^x,sinx,cosxは無限級数の形で表すことができます。

これによって似たような式が出てくるので、いろいろ消去するとオイラーの公式ができます。もちろん高校数学の範囲での証明はできません。

 

余談ですが、この公式はよく「美しい」と言われます。しかし私は別にそうは思いません。虚数単位とは人間が勝手に定義した道具にすぎず、その定義をもとにいろいろ計算してみたら、そうなったというだけですから。それよりも大学で習う近似式の方がすごいと思います。よくこんなことを発見したなぁとつくづく感心します。

 

こんなことを書くと近似式の勉強をしようとする人がいるかもしれません。しかしそこまでやるのはさすがにやり過ぎですので、お楽しみは大学に取っておきましょう。そんなに焦らなくてもほとんどの大学(理系)で習うことですから。それよりも目の前の入試を突破できなければ、そのお楽しみは味わえないので、くれぐれも本末転倒にならないようにしましょう。

 

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位相が2分のπずれる…が覚えられない

オームの法則:V=IRは有名ですが、交流の世界でも同様にV=IZという式があります。

ただし電圧Vも電流IもインピーダンスZも複素数であることに注意しましょう。

ここで電流をI=I0(cosθ+jsinθ)とします。(電磁気学ではjを虚数単位とする)

ところで電気抵抗、コイル、コンデンサーのインピーダンスは次のように覚えるのでした。

電気抵抗:Z=R  コイル:Z=jωL     コンデンサ: Z=1/jωC

注意したいことはjと1/jの偏角です。j=0+jですから、(0,1)の座標と原点を結ぶ線分と実軸との成す角、つまり偏角π/2です。一方1/j=-j=0-jですから、偏角は-π/2ですね。

さて、コイルに流れる交流電流をIとしたとき、この両端の電圧Vは

V=I×jωL=ωLI×j よって、電圧の振幅はI0ωLで位相は(θ+π/2)となります。

極形式の積の性質によって、jをかければ位相はπ/2増加します。(数学の知識)

 

同様にコンデンサに流れる交流電流をIとしたとき、この両端の電圧Vは

V=I×1/jωC=I/ωC×(-j) よって、電圧の振幅はI0/ωCで位相は(θ-π/2)となります。

極形式の積の性質によって、-jをかければ位相は-π/2増加します。(数学の知識)

 

逆に電圧を位相の基準として、V=V0(cosθ+jsinθ)としても同じように考えることができます。V=IZより、I=V/Zです。これによって、同様に計算すれば、電圧の位相を基準としたときの電流の位相が簡単にわかります。

 

要するにjがかけられていれば位相はπ/2増加し、分母にjがあれば位相はπ/2減少するということになります。

 複素数による計算の威力は素晴らしいですよね。高校物理の参考書や教科書のどこにも書いていない内容ですが、導出物理にはしっかり書きました。この感動を早く味わってほしいです。

  

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内積があれば外積もある

電磁気ではフレミングの法則なんていうのが出てきますが、私はこれが本当に苦手です。右手と左手の法則もあり、どの指が何を表すのかも覚えられないからです。(覚えてもすぐに忘れる)

ですから導出物理ではフレミングの法則は使わず、右ネジの法則で統一しています。

そしてこの法則によって定義されたのが外積だと思います。

   内積:A・B=|A||B|cosθ  外積:|A×B|=|A||B|sinθ

※A、Bはそれぞれ空間ベクトル ※×は「クロス」と読む

内積スカラー量で定義され、高校数学では必須ですが、外積は高校では習いません。

注意したいことは、外積はベクトル量であるので、大きさは絶対値記号をつけないといけません。

さて外積A×Bはどんなベクトルかというと、次のようになります。

向き:ベクトルAをベクトルBの方に回してネジが進む向き

大きさ:|A||B|sinθ  ※θはAとBの成す角(0以上180度以下)

この定義によって、電磁力とローレンツ力はベクトル量で非常にシンプルに表すことができます。

   電磁力=LI×B  ローレンツ力:qv×B

公式はsinθがついて厄介ですが、外積を用いればシンプルに覚えられます。大学に入ってからはこれが当たり前になるので、是非こちらで覚えてほしいと思います。詳しくは導出物理(下)改訂版の巻末に説明を入れましたのでご覧ください。

 

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虚数を使う交流回路の計算が面白い

直流回路の抵抗はよくRを使いますが、これはレジスタンスのことです。一方、交流回路での目安となる抵抗がリアクタンスです。これは電源の周波数とコイルやコンデンサーがもつ固有値で決まります。(※どちらも単位はΩ)

そしてインピーダンス複素数を用いて次のように定義されます。

インピーダンス=(レジスタンス)+j(リアクタンス)

※jは虚数単位

よってインピーダンスの大きさは次のように計算されます。

インピーダンスの大きさ=√(レジスタンス)^2+(リアクタンス)^2…①

高校物理の場合は、この説明がないまま、インピーダンスの大きさの公式を覚えさせようとします。そうすると、コイル、コンデンサー、電気抵抗のつなぎ方(直列や並列)や、つなぐ数などによって覚える公式が増大します。まぁ私のような記憶力がほぼゼロのような人間にはやる気をなくす項目です。

 ですから導出物理ではちょうど数Ⅲで複素数を詳しく学ぶので、複素数を用いた説明をすることにしたのです。次のインピーダンスを覚えることで、その公式を覚えることは不要になります。

電気抵抗=R+j0  コイル=0+jωL     コンデンサ=0+1/jωC

0はもちろん考えなくてもいいので、実際は次のように覚えます。

電気抵抗=R  コイル=jωL     コンデンサ=1/jωC

これさえ覚えれば、合成インピーダンスは実に簡単に計算できます。

直列の場合:Z=Z1+Z2+Z3+…+Zn  並列の場合:1/Z=1/Z1+1/Z2+1/Z3+…+1/Zn

これって中学で習った合成抵抗の公式と同じじゃないか!と気づきますね。

あとは①の定義によって大きさを計算すれば合成インピーダンスの公式は個別に覚える必要がないとわかります。こんなに便利なのに高校の教科書では複素数での説明が一切書いていないのです。だから導出物理で説明したのです。これを読まないと本当に大損しますので、早く読んでほしいです。

 

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高校物理でも置換積分法を使う

 導出物理では積の微分法や合成関数の微分法などを用いるので、できれば数学の方でも先に計算だけは練習してほしいです。数Ⅲの教科書と学校で買った薄い問題集を使えば誰でも独学できるはずです。

 もう一つ重要な計算法が置換積分法です。これは合成関数の微分法の逆のような計算で、数学的な証明も合成関数の微分法を利用します。(証明は数学の教科書を参照)

 導出物理では一定電流が流れているコイルのエネルギーを計算するときや、力学的エネルギーを解析するときに用います。この導出は高校の教科書にも市販の高校用参考書にもほぼ書いていません。したがって、導出物理を読めば本当にすっきりすると思いいます。

※ちなみに導出物理では部分積分法を使う説明は出てきません。

いずれにしても計算は練習あるのみです。練習を繰り返す中で自分なりにコツがわかってくるもので、裏技のようなものはありません。物理で問題を解くときには微分法や積分法はほぼ使いませんが、数学の入試では必修ですので遅かれ早かれ必要なことです。繰り返し練習すれば誰でもできることですから、素早く正確にできるまで練習しましょう。

 

 

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物理入試対策の秘策

  導出物理基礎演習編は導出物理の学習を終えた人のために最適化した教材だ。基礎演習編という名の通り、汎用的かつ良質な問題をランダムに配置した問題集である。構成は力学、電磁気学、波動、熱、原子、物理数学と分け、それぞれの分野で【単問・小問】→【大問】の順にランダムに配置している。この構成が今までありそうでなかった最大の特徴。

 まずそもそも入試問題を解く資格が自分にあるかどうかの判定をすることが重要。それは最初の単問・小問が解けるかどうかを判断することである。ここが解けないようではそもそも基本が理解できていない、あるいは公式をまともに覚えていない証拠。その場合は導出物理(上・下)に戻ってやり直す必要がある。

 そしてこの単問・小問をやることで、自分に何が足りていないのかが実によくわかる。わかったつもりと思っていたのが全く分かっていなかったと打ちのめされる結果になることもあるだろう。しかしそこが重要で、何が分かっていないのかをまず知ることから始めなければ受験対策は何も始まらない。

 そして大問の特徴は、初見ショック対策をちりばめていること。網羅性を持たせるため典型問題も入れてはいるが、珍しい問題やひねった問題をできるだけ採用した。要するにワンパターンな問題しか解けない、というのが中間層の特徴であり、そこに喝を入れている。と言っても決して難しい問題ではなく、自分なりに工夫し、噛み砕いて考えれば必ず解ける問題で、その特徴がある人は自分がいかに暗記に頼り、試行錯誤の習慣がないことを思い知るでしょう。そしてそこに気づいたら自分で何をどう勉強すればいいのか自然とわかるようになるはずだ。

 

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