高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

エクセルのマクロで成績管理ソフトを作りました

 学校の先生や予備校、塾向けの画期的な成績管理ソフトを作りました。多くのソフトはエクセルからデータを取り込むという面倒な作業が出てくるのですが、そもそもエクセル自体にプログラム(マクロ)を組み込んでしまえばそんな必要はなくなります。作ったソフトはテストの点数を入力すれば、あとはほぼクリックだけで次のことができます。

・成績表の出力、番号範囲指定による連続印刷

・全体平均点、クラス別平均点,全校ランキング、クラス内ランキングの集計

 成績表は平均点、クラス内平均点、全校ランキング、クラス内ランキング、平均点と得点の棒グラフ、過去の得点、順位の推移など豊富な情報を載せております。

 月額固定費、年会費などは不要で、原本をコピーしてすべての先生が使うことができます。共有設定にもしましたので、当ソフト(エクセルファイル)をサーバーに保存して、複数の先生が同時にアクセスし、点数入力をすることもできます。そうすることで、先生同士のデータのやり取りがなくなり、さらに効率的になります。

 このソフト(エクセルファイル)を採用いただかないと本当に膨大な時間を無駄にします。機能制限付きサンプルファイルがダウンロードできますので、まずはそちらを使ってご検討ください。

成績管理ソフト Excelマクロ使用で簡単・高機能・格安!

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら

 

理系科目の教師がとるべき方針

 教師に必要な力とは1.演技力,2.計画力,3教材力と申し上げました。理系科目の教師に特に必要なのは計画力と教材力です。

 先日あるニュースを見ました。某自治体の中学での数学の授業では、講義を少なくして、問題プリント多く与え、生徒同士で教え合うようにさせていました。つまり、早く練習問題が終わってしまった子は、なかなかできない子のところに行って教えてあげるというものです。そして教師は、全員が分かるまでみんなで協力するよう、ある意味連帯責任を持たせるようにしていました。これによって、その生徒たちの数学の成績は他の自治体よりもよくなったそうです。

 そのような1つの授業計画で大きく変わります。ただし、私に言わせればそんなこと当たり前のことです。民間ではそれに似たようなことはすでにやっています。さすがに民間では生徒同士で教え合うということはないでしょうが、いわゆる自習型の塾というのは多く存在します。生徒はやりたい教材を塾に持っていき、それを塾で自習します。わからなかったときは待機している先生に質問します。やっていることはそれだけです。待機している先生は、生徒が何を勉強しているのかを管理する程度です。これで確実に成果を出しているのです。

 何故そのようなことができるか。そのような自習型の塾はたいがい学校の予習をせず、復習しかしないのです。要するに学校で教えることを塾で教えるのは2度手間という考え方です。ですから講義の必要がないのです。実に合理的です。

 私自身も似ています。私の場合は完全に予習をしてしまいます。何故それができるかといえば、教材で板書すべきことをすべて掲載して、講義の時間を大幅に省けるように工夫しているからです。

 このように授業の計画性と教材の工夫によって、授業効率は大幅に変わります。何度も言いますが、理系科目の場合は特に、演習中心の授業でなければ非効率で、たいして成果はでません。早く多くの先生にそのことに気が付いてほしいです。

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら

 

生徒・部下を叱りたくなるときほどユーモアで返せ

 教師とは裏切られ続けるものです。苦労をして様々な授業の準備をしても生徒はなかなか努力をしようとしませんから。いったい自分の苦労は何だったんだと思うことがほとんどでしょう。そんなことが続くとつい生徒を叱りたくもなります。

 しかしそこで生徒を責めるようであれば教師の負けです。前述した通り叱られることがやる気を出す動機には到底ならないからです。欧米では日本で言う根性論的な、非合理な指導はしません。何故結果が出ないのか、何故やる気を出さないのか、生徒を冷静に分析して指摘をしていきます。もちろん自分の指導の何がいけなかったのか、教材の何がいけなかったのか、合理的に考えていくことも大事でしょう。

 叱らないまでも、教師のイライラした念を出されるもの生徒としては本当にうざいです。「何でこいつはできないんだ?」「何でこんなことが分からないんだ」という念は当然表情や行動に出ますので、それも本当に生徒のやる気を削ぎます。私が生徒であれば、「結局こいつは教える気がない」「指導の仕方を工夫する気がない」と思いますし、神経質な子の場合は「結局自分たちはダメ人間なんだ」と自信をなくします。

 したがって叱りたくなるときほど、ユーモアを交えて諭す器の大きさが教師には必要です。私の場合、最近では生徒が宿題をやってこなくても叱るようなことは全くなくなりました。宿題をやってこなければ授業で宿題の範囲からやればいいだけですし、そんなことを叱らなくてもみんなテストである程度結果を出してきていますので、感情的に叱るなんてほぼ無意味なんです。

 教師に限らず、上司が部下を指導する場合においても、叱責するような指導はほとんどの場合うまく行きません。私もかつては会社勤めの社会人で、そんな上司も数多く、本当に嫌な思いをしてきました。叱られて仕事ができるようになったかというと、むしろ逆でした。常にびくびくするようになり、それで判断力が鈍って再び失敗をするという悪循環に陥ったのです。

 とにかく叱責する指導というのは、時と場合にもよるでしょうが、多くの場合は逆効果であり、それを主とする指導というのは時代遅れです。これからは欧米のような冷静で合理的な指導法が日本には必要です。

 

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら

 

運動方程式は何故成り立つのか

少し定性的に考えてみましょう。ばねばかりにおもりをつるします。そのばねばかりを地上10mの位置と地上1mの位置で計ったとき、ばねばかりの値は変わるでしょうか?厳密にいえば変わりますけど、ほぼ変わらないと見なすことができますよね?つまり、おもりにはたらく重力は、地球上であればどこでもほぼ変わらないことになります。

 次にそのおもりを静かに落下させます。すると速さは毎秒約9.8m/sずつ増加します。つまりはたらく重力が一定なら、一定の加速度が生じます。同じ実験を月や木星などでやってみると、はたらく重力が異なるので、生じる加速度の大きさも異なり、一般に強い重力が生じているときほど大きい加速度が生じると考えられます。

 さらにばねばかりに同じおもりを2個、3個と追加して吊るすと、ばねの伸びも大きくなります。このとき静止しているおもりの加速度は0です。ということは生じている加速度が一定なら、質量が大きいほど強い重力がはたらくと考えられます。

 ここで質量mの物体にはたらく重力をF、生じる加速度をaとすると、重力の大きさは次の式で定義してもよさそうだ、ということになります。

 F=ma

 式の意味は、おもりの質量が一定なら、生じる加速度とはたらく力は比例し、はたらく力が一定なら、おもりの質量と生じる加速度は反比例するということになります。

 実はその比例と反比例の関係が成り立つことは実験で示すことができます。その実験はそれほど難しくはありませんが、結構長くなりますので「導出物理」を参照ください。その実験により下線部が成り立つことが示され、この下線部は「運動の法則」と呼ばれています。そしてこの法則が破られる実験は未だに確認されていないので、その法則はたぶん正しいだろうということになります。

 ということで、運動方程式は何故成り立つのか、ということですが、それは運動の法則が成り立つからであって、力の大きさはその法則をもとに定義されていると理解すればいいでしょう。

 

 

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら

 

高校数学で導出できない物理の公式(3)

 万有引力や静電気力がはたらくベクトル場において、力学的エネルギー保存則を正確に導出することも不可能です。何故ならば、万有引力や静電気力が、「保存力」であるとことを明確に証明することができないからです。それには大学で習う数学の知識が必要ですが、とりあえず高校の範囲では万有引力や静電気力が保存力であることを暗記し、エネルギー保存則の公式を覚えるしかありません。大学で数学と物理を学べばそのあたりは非常にすっきりしますので、お楽しみはとっておきましょう。

 ただし重力がはたらく場であれば、それほど難しくはありません。重力は必ず鉛直下向きで、なおかつ位置によらず一定の大きさだからです。したがって導出物理(改訂版)では「運動エネルギー+重力による位置エネルギー=一定」となることを高校で習う微積を用いて一応導出しましたけど、万有引力や静電気力は位置によって大きさや向きが変化してしまいますので、単純にはできません。

 では「保存力」とはそもそもどう理解すればいいか。

 例えば、静電気力がはたらく場において、物体がA点からB点に移動したとします。その経路が直線であろうと、遠回りしようと、静電気力がする仕事は変わりません。また、物体がA点からB点を通り、別の経路をたどって再びA点に戻ったとします。このとき、静電気力がする仕事はトータルで必ず0になります。静電気力はもちろん経路の過程で仕事をするわけですが、もとの位置に戻ってくるまでの合計を計算すると0になってしまうのです。そのような性質を持つ力を「保存力」と呼んでいます。

 大学の数学では、曲線に沿って積分したときに、その積分値が経路によらず初めの位置と後の位置だけで決まるようなベクトル場が存在することが証明されます。そのことを物理で定義されている力と仕事に応用すると、結局次のようなシンプルな結果が得られます。

保存力がする仕事=(初めの位置エネルギー)-(後の位置エネルギー

また、運動方程式積分計算することで、次の結果も得られます。

外力がする仕事=(後の運動エネルギー)-(初めの運動エネルギー)

物体にはたらく外力が保存力のみだとすると、上記の式はそれぞれ等しいので、

(初めの位置エネルギー)-(後の位置エネルギー

   =(後の運動エネルギー)-(初めの運動エネルギー)

となり、

(初めの位置エネルギー)+(初めの運動エネルギー)

   =(後の運動エネルギー)+(後の位置エネルギー

つまり、力学的エネルギー保存則の公式が得られます。

 

 保存力は重力、万有引力、静電気力の他にも、浮力やばねの弾性力がありますが、保存力がはたらく場において、外から保存力以外の力がはたらかないときは、必ず「運動エネルギー+位置エネルギー=一定」という公式をつくることができます。

 

 

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら

 

導出物理の評価は?

 先日ですが、導出物理を採用いただいている塾長先生からご意見をいただきました。その先生は有名国立大学出身のたいへん優秀な先生ですが、高校生当時は物理に様々な疑問点を感じ、苦しんだそう。しかし、導出物理はその解決になるとして、喜んでいただきました。一部抜粋ですが次のようにおっしゃられておりました。

「円運動の加速度を高校レベルできちんと数式で導いてあるのはこの書籍しかしりません。たいていは、何となく腑に落ちないベクトルで説明するか、それとは対照的に、座標軸が回転することを難解な数式で解説したりしてましたね。」また、「数学3をしっかり使って公式を導出しているのは導出物理だけ」ともいっていただきました。

 私自身は個人塾の運営者でもあるので、物理の市販教材、塾教材、学校教材のほとんど目を通しております。そして高校数学も教えますので、カリキュラムについても熟知しています。その上で最高の物理教材を目指して、あらゆる配慮しました。何といっても順番通り問題を解いていけば自然と物理が身につくように、問題のレベル、順序、分量には十分注意しております。ですのでどうか安心して使っていただきたいです。

 ただ使い方には若干の注意が必要です。大まかにいえば,

・解説は隅々まで熟読すること

・導出過程が十分理解できなくても、あまり気にしないこと

・「暗記」とかかれているところは必ず「暗記」すること

・わからないところだけをかいつまんでやらないこと

・基本的な問題は短時間で解けるまで何度も反復して解くこと

・自分の受ける大学にあまり出題されない分野は理解程度にして、よく出る分野の問題を完璧に解けるようにすること。

 と、基本的にはこんなところです。

 物理についてはやはり質問が多いです。私は「テキストのここに書いてあるだろ!なんでちゃんと読まないんだ」と言いたいのをぐっとこらえて、丁寧に答えておりますが、ほとんどの場合は「導出物理の解説を熟読していない」「前に習った基本問題をよく練習していない」と感じることが多いです。

 もちろんこちらの解説の不備もなくはありませんので、そのときは微風出版WEBサイトのお問い合わせからメールでご意見いただければと思います。

 

 

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら

 

何故物体にはたらく力が見つけられないのか

「物体にはたらく力」という言葉の理解をしっかりしていない人がいます。これは物体が「外から受ける力」と同等だということを理解しましょう。

 さて、物体にはたらく力が見つけられない原因は、多くの場合「接触力」と「非接触力」に分解して考えないからです。

 接触力とは物体と接している何らかのものから受ける力で、非接触力とは物体の接触とは無関係にはたらく力のことです。

 例えば天井に糸が吊るされていて、下端に小球がつるされて静止しているとしましょう。このとき、それぞれの力に分解します。

物体にはたらく接触力:糸の張力(上向き)

物体にはたらく非接触力:重力(下向き)

 天井が受ける力なんか関係ないですよね?物体は天井と接触していませんから。

また、厳密にいえば物体は空気と接触していますので、空気から浮力という接触力を受けます。しかし、物体の体積が小さいときや周りの流体(この場合は空気)の密度が小さいときは浮力は小さく、普通は無視します。

 私は生徒によく言います。「接触力」と「非接触力」を別々に考え、物体の気持ちになって、外からどんな風に引っ張られているか想像しなさい!と。コツはたったこれだけなのですが、予備校の先生は余計なことを長々と回りくどく話す場合があります。それは本当に時間とお金のむだだなぁと思います。

 このように「導出物理」では直線的なコツを端的に説明し、あとは基本を反復できるように基本問題をたくさん載せていますので、物理で苦しんでいる人は是非読んでください。

 

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら

 

運動方程式が何故みんな苦手なのか

教科書の多くは運動方程式は次のように書かれています。

  ma=F

これは非常にわかりにくいと思います。ですので「導出物理」では必ず次のように記述しています。

  ma=F1+F2+F3+・・・Fn …①

これは質量mの物体がF1~Fnの力を受けているとき、物体にaだけの加速度が生じるとしたときに成り立つ式です。これは何故かではなく、力はこの式が成り立つように定義されているのです。

 そして加速度と力はベクトル量ですので、①式を成分表示で表現すると次のようになります。

 m(ax,ay)=(fx1,fy1)+(fx2,fy2)+(fx3,fy3)+・・・(fxn,fyn)

 上式のx成分についての等式がx方向の運動方程式、y成分についての等式がy方向の運動方程式となります。このようにすれば理解しやすいと思います。最初からx方向、y方向の式は?と考えてしまうから、一体何をやっているのかという全体像が見えてこなくなってしまうのです。

 これについては導出物理基礎の4章で相当詳しく書きましたので是非読んで問題も解いてみてください。ここはこのテキストで最も重要な個所です。この章ではまず、実際の力(重力、摩擦力など)を考えるのではなく、例えば架空の3つの力がはたらいていたときの運動方程式を立てる練習などを掲載しています。これにより、「物体にはたらく力を探す」というもう一つの難しい作業をやらずに、運動方程式を立てる練習に集中できます。つまり、数学の教科書のような解説になっています。このような解説は高校物理の教材ではおそらく日本初でしょう。

 

高校物理教材  導出物理の詳細はこちら

 

高校教師の指導力とは(3)

 最後に3.教材力です。物理,数学に関しては、よく塾の生徒から学校の先生の作った授業プリントや定期試験問題を見せてもらいます。学校の授業での質問を塾で受けることが多いからです。これによって先生の授業の質がよくわかります。

 まず、生徒のレベルに合わせて演習問題を入れているプリントはよいと思います。さらに、生徒が苦手な問題を多めに配分していればベターです。演習問題がないプリントはNGです。前述している通り、演習時間をいかに多くとるかで成績が大きく左右するからです。

 塾業界でも外注教材に頼らず、教材やテスト問題をオリジナルで作っている塾は非常によく結果を出しています。生徒のレベルに合わせて情報を絞ることが重要だからでしょう。私がつくった中学生用教材も基礎だけに絞り、基礎を反復できるように工夫したことで大きく結果が出ました。基礎さえ定着すれば、余った時間は外注教材でも十分対応できますので、やはりオリジナル教材は基本的なことだけに情報を絞って作ることが重要でしょう。

 

 ところで私が開発した「導出物理(上・下・基礎演習編)」ほど手間のかかるものは、どの先生も作れないでしょう。朝から晩までほぼ毎日作業して、概形ができるまで約4年かかりましたので、それだけの時間は取れないと思います。ですので、物理に関してはこの教材を採用いただくと、授業プリント自体の作成はほぼ不要になり、定期試験問題の作成に集中することができます。

 

 

 

高校教師の指導力とは(2)

 次に2.計画力ですが、これは企画力といってもいいでしょう。どのように授業を進めていくか、どのタイミングで小テストをするか、どのような実験をするか、どのような教材を使うか…などということになります。

 これにはまず生徒たちのニーズや能力に敏感でなければいけません。進学校であれば受験対策を重視し、そうでなければ楽しさや面白さを重視し、興味を持たせるような工夫が必要です。そして生徒が授業についてこれないという状況になれば臨機応変に対応できなくてはいけません。

 自分が教わってきたやり方や自分の信念を押し通すことは感心しません。生徒たちは多様で時代も常に変化しています。そういうことに対応できないと、生徒に嫌われ、の学習意欲を削いでいきます。

 ところで生徒のテスト結果が悪かったり、学習意欲がないと強く感じたとき、まるまる1時間かけて説教することがあるかと思います。説教が悪いとは言いませんが、私に言わせればおおよそ無意味です。そんな時間を費やすのなら、少しでも演習を多くやればいいと思います。

 生徒は説教をしてやる気を出したり、学習意欲を増したりすることはほぼありません。学習意欲が増す原因はそんなことではなく、何か目標が見つかったり、成績が思うように上がったり、授業が面白いと感じたり、といったことです。叱られてやる気が増すということはありません。

 生徒の学習意欲がないことや基本が身についていないことに対して説教をするということは、教師本人の授業の計画力を棚に上げているということです。つまりその時点で教師失格です。基本が身についていないのだったら、小テストや演習を工夫するとか、小学や中学の内容までさかのぼって補習授業をするなどをすればいいのに、そのような努力もせず責任を生徒に押し付けわけですから、当然のことです。

 学習に関しては基本的に生徒を責めるということは不要で、教師はただただ、どうしたら生徒がやる気を出すか、どうしたら成績が上がるのか、ということだけを考えていればいいのです。