高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

導出物理の評価は?

 先日ですが、導出物理を採用いただいている塾長先生からご意見をいただきました。その先生は有名国立大学出身のたいへん優秀な先生ですが、高校生当時は物理に様々な疑問点を感じ、苦しんだそう。しかし、導出物理はその解決になるとして、喜んでいただきました。一部抜粋ですが次のようにおっしゃられておりました。

「円運動の加速度を高校レベルできちんと数式で導いてあるのはこの書籍しかしりません。たいていは、何となく腑に落ちないベクトルで説明するか、それとは対照的に、座標軸が回転することを難解な数式で解説したりしてましたね。」また、「数学3をしっかり使って公式を導出しているのは導出物理だけ」ともいっていただきました。

 私自身は個人塾の運営者でもあるので、物理の市販教材、塾教材、学校教材のほとんど目を通しております。そして高校数学も教えますので、カリキュラムについても熟知しています。その上で最高の物理教材を目指して、あらゆる配慮しました。何といっても順番通り問題を解いていけば自然と物理が身につくように、問題のレベル、順序、分量には十分注意しております。ですのでどうか安心して使っていただきたいです。

 ただ使い方には若干の注意が必要です。大まかにいえば,

・解説は隅々まで熟読すること

・導出過程が十分理解できなくても、あまり気にしないこと

・「暗記」とかかれているところは必ず「暗記」すること

・わからないところだけをかいつまんでやらないこと

・基本的な問題は短時間で解けるまで何度も反復して解くこと

・自分の受ける大学にあまり出題されない分野は理解程度にして、よく出る分野の問題を完璧に解けるようにすること。

 と、基本的にはこんなところです。

 物理についてはやはり質問が多いです。私は「テキストのここに書いてあるだろ!なんでちゃんと読まないんだ」と言いたいのをぐっとこらえて、丁寧に答えておりますが、ほとんどの場合は「導出物理の解説を熟読していない」「前に習った基本問題をよく練習していない」と感じることが多いです。

 もちろんこちらの解説の不備もなくはありませんので、そのときは微風出版WEBサイトのお問い合わせからメールでご意見いただければと思います。

 

 

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何故物体にはたらく力が見つけられないのか

「物体にはたらく力」という言葉の理解をしっかりしていない人がいます。これは物体が「外から受ける力」と同等だということを理解しましょう。

 さて、物体にはたらく力が見つけられない原因は、多くの場合「接触力」と「非接触力」に分解して考えないからです。

 接触力とは物体と接している何らかのものから受ける力で、非接触力とは物体の接触とは無関係にはたらく力のことです。

 例えば天井に糸が吊るされていて、下端に小球がつるされて静止しているとしましょう。このとき、それぞれの力に分解します。

物体にはたらく接触力:糸の張力(上向き)

物体にはたらく非接触力:重力(下向き)

 天井が受ける力なんか関係ないですよね?物体は天井と接触していませんから。

また、厳密にいえば物体は空気と接触していますので、空気から浮力という接触力を受けます。しかし、物体の体積が小さいときや周りの流体(この場合は空気)の密度が小さいときは浮力は小さく、普通は無視します。

 私は生徒によく言います。「接触力」と「非接触力」を別々に考え、物体の気持ちになって、外からどんな風に引っ張られているか想像しなさい!と。コツはたったこれだけなのですが、予備校の先生は余計なことを長々と回りくどく話す場合があります。それは本当に時間とお金のむだだなぁと思います。

 このように「導出物理」では直線的なコツを端的に説明し、あとは基本を反復できるように基本問題をたくさん載せていますので、物理で苦しんでいる人は是非読んでください。

 

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運動方程式が何故みんな苦手なのか

教科書の多くは運動方程式は次のように書かれています。

  ma=F

これは非常にわかりにくいと思います。ですので「導出物理」では必ず次のように記述しています。

  ma=F1+F2+F3+・・・Fn …①

これは質量mの物体がF1~Fnの力を受けているとき、物体にaだけの加速度が生じるとしたときに成り立つ式です。これは何故かではなく、力はこの式が成り立つように定義されているのです。

 そして加速度と力はベクトル量ですので、①式を成分表示で表現すると次のようになります。

 m(ax,ay)=(fx1,fy1)+(fx2,fy2)+(fx3,fy3)+・・・(fxn,fyn)

 上式のx成分についての等式がx方向の運動方程式、y成分についての等式がy方向の運動方程式となります。このようにすれば理解しやすいと思います。最初からx方向、y方向の式は?と考えてしまうから、一体何をやっているのかという全体像が見えてこなくなってしまうのです。

 これについては導出物理基礎の4章で相当詳しく書きましたので是非読んで問題も解いてみてください。ここはこのテキストで最も重要な個所です。この章ではまず、実際の力(重力、摩擦力など)を考えるのではなく、例えば架空の3つの力がはたらいていたときの運動方程式を立てる練習などを掲載しています。これにより、「物体にはたらく力を探す」というもう一つの難しい作業をやらずに、運動方程式を立てる練習に集中できます。つまり、数学の教科書のような解説になっています。このような解説は高校物理の教材ではおそらく日本初でしょう。

 

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高校教師の指導力とは(3)

 最後に3.教材力です。物理,数学に関しては、よく塾の生徒から学校の先生の作った授業プリントや定期試験問題を見せてもらいます。学校の授業での質問を塾で受けることが多いからです。これによって先生の授業の質がよくわかります。

 まず、生徒のレベルに合わせて演習問題を入れているプリントはよいと思います。さらに、生徒が苦手な問題を多めに配分していればベターです。演習問題がないプリントはNGです。前述している通り、演習時間をいかに多くとるかで成績が大きく左右するからです。

 塾業界でも外注教材に頼らず、教材やテスト問題をオリジナルで作っている塾は非常によく結果を出しています。生徒のレベルに合わせて情報を絞ることが重要だからでしょう。私がつくった中学生用教材も基礎だけに絞り、基礎を反復できるように工夫したことで大きく結果が出ました。基礎さえ定着すれば、余った時間は外注教材でも十分対応できますので、やはりオリジナル教材は基本的なことだけに情報を絞って作ることが重要でしょう。

 

 ところで私が開発した「導出物理(上・下・基礎演習編)」ほど手間のかかるものは、どの先生も作れないでしょう。朝から晩までほぼ毎日作業して、概形ができるまで約4年かかりましたので、それだけの時間は取れないと思います。ですので、物理に関してはこの教材を採用いただくと、授業プリント自体の作成はほぼ不要になり、定期試験問題の作成に集中することができます。

 

 

 

高校教師の指導力とは(2)

 次に2.計画力ですが、これは企画力といってもいいでしょう。どのように授業を進めていくか、どのタイミングで小テストをするか、どのような実験をするか、どのような教材を使うか…などということになります。

 これにはまず生徒たちのニーズや能力に敏感でなければいけません。進学校であれば受験対策を重視し、そうでなければ楽しさや面白さを重視し、興味を持たせるような工夫が必要です。そして生徒が授業についてこれないという状況になれば臨機応変に対応できなくてはいけません。

 自分が教わってきたやり方や自分の信念を押し通すことは感心しません。生徒たちは多様で時代も常に変化しています。そういうことに対応できないと、生徒に嫌われ、の学習意欲を削いでいきます。

 ところで生徒のテスト結果が悪かったり、学習意欲がないと強く感じたとき、まるまる1時間かけて説教することがあるかと思います。説教が悪いとは言いませんが、私に言わせればおおよそ無意味です。そんな時間を費やすのなら、少しでも演習を多くやればいいと思います。

 生徒は説教をしてやる気を出したり、学習意欲を増したりすることはほぼありません。学習意欲が増す原因はそんなことではなく、何か目標が見つかったり、成績が思うように上がったり、授業が面白いと感じたり、といったことです。叱られてやる気が増すということはありません。

 生徒の学習意欲がないことや基本が身についていないことに対して説教をするということは、教師本人の授業の計画力を棚に上げているということです。つまりその時点で教師失格です。基本が身についていないのだったら、小テストや演習を工夫するとか、小学や中学の内容までさかのぼって補習授業をするなどをすればいいのに、そのような努力もせず責任を生徒に押し付けわけですから、当然のことです。

 学習に関しては基本的に生徒を責めるということは不要で、教師はただただ、どうしたら生徒がやる気を出すか、どうしたら成績が上がるのか、ということだけを考えていればいいのです。

 

高校教師の指導力とは(1)

私の考える学習の指導力とは次の3要素です。

1.演技力 2.計画力 3.教材力

最も重要なのが1.演技力です。これは文系科目の教師ほど重要です。人気予備校講師はすべてこれが備わっています。みんなとにかく大げさでエネルギッシュです。落語や演劇の世界でも通用するほど表現力が豊かです。何故これが最も重要なのか。

 あるテレビ番組で面白い実験をしていました。ある男性が大勢の人の前で自分の身の上話をします。あるグループに対しては、普通のしゃべり方で話し、別のグループに対しては完全なる「おねえ言葉」で話しました。(現役ニューハーフの指導あり)その後、話した内容をどれくらい覚えているか、聞き手にテストしたところ、おねえ言葉のほうが圧倒的に内容をよく記憶していたという結果になりました。

 このように自分ではないものを演じて強烈な個性を出すことで、聞き手の記憶する情報量が変わってきます。もちろん、これはどんな教師にもまねはできません。しかし、響き渡るようなでかい声でテンポよく話すことくらいはできるはずです。

 要は単調で眠くなるような話し方をする教師が最もダメな教師なのです。そうならないように一人ひとりの個性が生きるようなパフォーマンスをすればいいのです。そして重要なことは「ユーモア」です。これがないと生徒や部下はついてきません。指導を受ける側は笑う機会がないと、だんだん眠くなったり、場合によっては悲壮感を持ったりします。

 私の場合は年甲斐もなく若者言葉を使い、生徒に突っ込みを入れたりしますし、生徒が変な英作をしたら、それを無理やり日本語に直して、滑稽な会話状況の例を挙げたりします。これだけでも生徒は笑ってリラックスができ、割と飽きずに取り組むようになります。(もちろん私はそんな話ばかりではなく、ためになるような話もたくさんしますけど)

 

こんな勘違い教師もいた

 かつて私が高校生だったころ、こんな化学の教師がいました。実験とそのレポートを何度も課す教師でしたが、その実験というのは教科書とは関係のないものです。具体的なことは覚えていませんが、未知の物質について様々な実験をして、それを自分なりに考察させるというものです。その動機とは、大学ではそれが当たり前になるので、その準備が必要である、というものでした。当時はただただ苦痛でしたが、今では教師の方が勘違いしていると確信しています。

 そもそも化学を習ったばかりで、物質の種類もそれほど知らない、化学反応式もそれほど知らない、定期テストの平均点も30~40点というほど多くの生徒が苦しんでいる状況で、自分なりに考察してレポートなんてかけるわけがないのです。漢字やひらがながまともに書けないのに、読書感想文を書いてこいと言っているようなものです。

 そんなレポートをさせている暇があるなら、少しでも補習授業や小テスト、演習をやって、基本的な知識を身につけさせるべきです。その化学教師は自分が大学で習った教育が高校で教えるべきものなのだと勘違いしていたのでしょう。

 私の塾の中学生の生徒が通う学校にも、同様にレポートを課す教師がいたそうです。中学生ですから、考察してレポートを書くとなると、みんなパニックになるに決まっています。その教師は生徒から大変な批判を浴び、補助教員に降格したそうです。そして驚くべきことに、その教師は割と年配のベテラン教師だったということです。

 学校教員というのは本当に恐ろしいものです。頑張ろうがなかろうが、首になることはほとんどなく、十分すぎるほどの給料をもらえるので、創意工夫をしなくなり、常識にも疎くなりやすい。つまり、学校教員というのは頭がどんどん退化していく可能性を秘めている職業と言えます。

 自主的に創意工夫できない人、社会常識にも疎い人、安定だからという理由で学校教員になりたいと人は、是非とも学校教員にならないでいただきたい。社会にとっても害ですし、本人にとっても不幸だからです。

 

よい物理の参考書とは

 ネット上で物理の参考書を紹介するようなサイトも見かけますが、相変わらず予備校の先生(または高校の先生)が書くような講義調の分かりやすいものを推しています。しかし、我々民間教育の現場で教えている立場からすると、残念ながらそれで物理の成績は上がりません。

 もちろん悪いというわけではありませんが、そのような参考書の致命的なところは基本的な練習問題がほとんどないことです。したがって別の問題集で練習しなければいけないのですが、その問題集は参考書の傍用ではないので、どこを調べればいいかわからない、調べても載っていない、などの問題が起こったり、練習問題のレベルが自分に合っていないといったことが起こります。結局それはやる気をなくす原因となります。

 多くの方は著作側も含めて「解説が分かりやすい」参考書がいい参考書だと勘違いしています。しかしわかりやすければ成績は上がるのでしょうか?そうではなく、成績が上がるかどうかは「問題をいかにたくさん解くか」で決まります。特に理系科目は頭で理解するのではなく体で覚えるという要素が強くなりますので、スポーツで言えばジョギングやウエイトトレーニングのような地味な反復練習が最も重要になります。ですからまずは「基本的な問題をすぐに解けるように配慮している参考書」がよい参考書になります。

 しかし残念ながらそのような参考書はほぼ皆無でした。ですからよりその理想に近づけた「導出物理」を皆様にどうしても使っていただきたいのです。導出物理は厳選した基本問題しか掲載しておらず、順を追って解説を読み、問題を解いていけば自然と道理が理解できるように順序と分量を徹底的に配慮して構成しています。

 解説が多少わからなくても無理やり問題練習に移ってみてください。解けなくても解説を見て理解できればいいですし、できなかった問題はできるまで何度も練習すればわからなかった解説が分かるようになったりします。このようなやり方で講義調の参考書と問題集を行き来するよりもはるかに時間が節約され、効果的に成績が上がります。

 

 

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文系寄りの数学カリキュラムが理系離れを生んでいる

 物理の最初に習うのが速度や加速度です。これは高1または高2の最初に習うようになっています。一方で高校数学では、速度や加速度の概念は高3の中盤くらいで習うようになっています。本当にバカなカリキュラムです。

 これは微積が絡んでくるのでそうせざるを得ないというのが文科省の言い分でしょう。しかし、別の記事でも述べたように微積自体の概念は非常に単純です。説明の仕方によっては高1でも十分理解できる内容です。しかし教育の現場を知らないアホ文科省は永久にそのことに気づかないでしょう。

 文科省のみなさんも私の執筆した「導出物理」で勉強しなおすことをおすすめします。私があなた方のしりぬぐいをいかにしているかということがわかります。物理の教材なのに数学の解説をするという…ああ、もう説明するのも面倒。執筆の楽しく苦痛な思い出が…

 

電磁気の単位体系が複雑すぎて、教科書では手におえない

 高校生だったころはまるでちんぷんかんぷんだった高校物理を大人になってから勉強しなおして、やっぱりちんぷんかんという分野が電磁気の単位体系です。ですから納得できるレベルに達するまでに死ぬほど苦労しました。その苦労の過程は「導出物理」にすべてまとめましたので是非ご覧ください。

 教科書を読んで何故わからなかったかというと、一つは電気と磁気の世界の対称性を述べていないというのが大きな理由の1つでした。例えば「磁束」という概念が出てくるのに教科書では「電束」という概念が出てきません。また「電荷」という言葉が出てくるのに「磁荷」という言葉が出てきません。

 電磁気の世界では電気と磁気が数式も含めて対称性を持つように定義されいるわけですが、高校物理ではその解説がまるでないのです。ですからいろいろな定義や公式が出るたびに混乱してしまうのです。「導出物理」ではその対称性をきっちりまとめましたので、相当理解が進むのではと思います。大学生も電磁気の初歩で混乱している人は是非読んでいただきたい内容です。

  

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