高校物理・数学成績アップ術

微風出版「導出物理」の著者による物理・数学の学習戦略ブログ

よい物理の参考書とは

 ネット上で物理の参考書を紹介するようなサイトも見かけますが、相変わらず予備校の先生(または高校の先生)が書くような講義調の分かりやすいものを推しています。しかし、我々民間教育の現場で教えている立場からすると、残念ながらそれで物理の成績は上がりません。

 もちろん悪いというわけではありませんが、そのような参考書の致命的なところは基本的な練習問題がほとんどないことです。したがって別の問題集で練習しなければいけないのですが、その問題集は参考書の傍用ではないので、どこを調べればいいかわからない、調べても載っていない、などの問題が起こったり、練習問題のレベルが自分に合っていないといったことが起こります。結局それはやる気をなくす原因となります。

 多くの方は著作側も含めて「解説が分かりやすい」参考書がいい参考書だと勘違いしています。しかしわかりやすければ成績は上がるのでしょうか?そうではなく、成績が上がるかどうかは「問題をいかにたくさん解くか」で決まります。特に理系科目は頭で理解するのではなく体で覚えるという要素が強くなりますので、スポーツで言えばジョギングやウエイトトレーニングのような地味な反復練習が最も重要になります。ですからまずは「基本的な問題をすぐに解けるように配慮している参考書」がよい参考書になります。

 しかし残念ながらそのような参考書はほぼ皆無でした。ですからよりその理想に近づけた「導出物理」を皆様にどうしても使っていただきたいのです。導出物理は厳選した基本問題しか掲載しておらず、順を追って解説を読み、問題を解いていけば自然と道理が理解できるように順序と分量を徹底的に配慮して構成しています。

 解説が多少わからなくても無理やり問題練習に移ってみてください。解けなくても解説を見て理解できればいいですし、できなかった問題はできるまで何度も練習すればわからなかった解説が分かるようになったりします。このようなやり方で講義調の参考書と問題集を行き来するよりもはるかに時間が節約され、効果的に成績が上がります。

 

 

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文系寄りの数学カリキュラムが理系離れを生んでいる

 物理の最初に習うのが速度や加速度です。これは高1または高2の最初に習うようになっています。一方で高校数学では、速度や加速度の概念は高3の中盤くらいで習うようになっています。本当にバカなカリキュラムです。

 これは微積が絡んでくるのでそうせざるを得ないというのが文科省の言い分でしょう。しかし、別の記事でも述べたように微積自体の概念は非常に単純です。説明の仕方によっては高1でも十分理解できる内容です。しかし教育の現場を知らないアホ文科省は永久にそのことに気づかないでしょう。

 文科省のみなさんも私の執筆した「導出物理」で勉強しなおすことをおすすめします。私があなた方のしりぬぐいをいかにしているかということがわかります。物理の教材なのに数学の解説をするという…ああ、もう説明するのも面倒。執筆の楽しく苦痛な思い出が…

 

電磁気の単位体系が複雑すぎて、教科書では手におえない

 高校生だったころはまるでちんぷんかんぷんだった高校物理を大人になってから勉強しなおして、やっぱりちんぷんかんという分野が電磁気の単位体系です。ですから納得できるレベルに達するまでに死ぬほど苦労しました。その苦労の過程は「導出物理」にすべてまとめましたので是非ご覧ください。

 教科書を読んで何故わからなかったかというと、一つは電気と磁気の世界の対称性を述べていないというのが大きな理由の1つでした。例えば「磁束」という概念が出てくるのに教科書では「電束」という概念が出てきません。また「電荷」という言葉が出てくるのに「磁荷」という言葉が出てきません。

 電磁気の世界では電気と磁気が数式も含めて対称性を持つように定義されいるわけですが、高校物理ではその解説がまるでないのです。ですからいろいろな定義や公式が出るたびに混乱してしまうのです。「導出物理」ではその対称性をきっちりまとめましたので、相当理解が進むのではと思います。大学生も電磁気の初歩で混乱している人は是非読んでいただきたい内容です。

  

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複素数(虚数)ってそもそも何の役に立つのか

高校数学においては、ある関数を別の関数で割ったときの剰余を解析するときに虚数が役に立つことが希にありますが、それ以外は思いつきません。大学で習う数学では微分方程式というものを解くための式の中に虚数が使われたり、原子のような小さいものを扱う量子力学でも虚数が使われるそうで、非常に応用されています。

 最も有効に活用されているのは交流回路における計算です。直流回路では中学生の時に習った通り、例えば抵抗Rと抵抗R'を直列、並列にそれぞれつないだ時の合成抵抗rは次のようになりました。

直列:r=R+R' 並列:1/r=1/R+1/R'

そして交流回路の場合も複素数を持ち出すことで直流と同じような公式が得られます。

つまり本来なら微積を用いて計算しなければいけないところを、直流と同じような単純な式でいろいろなことが計算できるようになります。物理学においては「対称性」というものが美しいとされる世界ですが、複素数を持ち出すことで、まさに直流と交流の対称性が生まれ、なおかつ計算が死ぬほど易しくなったため、複素数の存在価値は非常に大きくなったと考えられます。

 

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導出物理は学校教材にも最適

 学校の授業で何が無駄かといえば、教師が板書をする時間と、生徒がそれを書き写す時間です。ノートをテイネイにとれば成績は上がるでしょうか?そうとは限りません。私の塾ではノートなんかほとんどとらなくても成績が上がっていますので。

 成績が上がるのどうかは、ノートをいかに上手にとるかではなく、問題練習をたくさんするかどうかです。だから授業は演習中心でなければいけないのです。特に理系科目はそうでなければ成績は上がりません。

 では、どうしたら演習中心の授業が行えるか。それは板書すべきことはテキストに掲載して、それを見ながら問題を解けるようにしたらいいのです。それを可能にするのが「導出物理」です。学校の先生は実際に使ってみたらわかります。今まで何百時間と解説し、板書してきた時間は一体何だったのだろうと思うでしょう。特に高校の先生はそのことに早く気付いてほしいです。生徒が本当にかわいそうですから。

 

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導出物理は独学に最適

 解説(導出)と例題と基本問題演習を同時に含む物理教材こそが最も成績が上がる優れた参考書であることは指導経験でわかっていましたが、そのような教材はほぼ皆無です。有名な「物理のエッセンス」はそれにあたる数少ない教材になりますが、残念ながら解説量と問題量が非常に少ないのが問題です。

 例えば等速円運動の加速度の導出は行っていなかったり、用語を確認するような問題がなかったり、半導体に関する解説がほとんどなかったりと、私から見たらいろいろな欠点が挙がってしまいます。

 ですので理解力がよく、こだわりがあまりなく要領のいい人にとっては何とかなるのですが、そうでない場合は歯が立たないという結果になります。

 しかし「導出物理」は完全に教科書傍用で網羅性もあり、解説と基礎問題も豊富で、市販のあらゆる教材の欠点を補っていますので、物理で苦しんでいる人は是非使ってみてください。きっと感動することがあると思います。

  

保存則はどこから来たの?

高校物理で習う保存則には力学的エネルギー保存則、運動量保存則がありますが、それらが何故便利かといえば、式に運動時間が含まれていないので、運動の前後の状態を把握するのが容易なのです。

 しかしそもそもこれらはどうやって導かれたのでしょうか?実はこれは非常に単純なのです。これらの法則は運動方程式を式変形したに過ぎないのです。(具体的には積分計算をして変形します)

 では運動方程式は何故成り立つのかということですが、これは運動の3法則(運動/慣性/作用反作用の法則)のうちの「運動の法則」に起因します。これは実験によって考え出された法則であり、これ自体は自然の成り立ちを式にしたものに過ぎず、導出などはできません。この法則が破られる実験結果はいまだかつて発見されていないので、それが成り立つという風に今のところ理解するようにしましょう。

※運動の3法則については「導出物理基礎」で詳しく解説しましたので是非読んでください。

 

 

運動エネルギーの導出はちょっと難しい

1次元の運動(直線運動)で等加速度運動ということに限定すると、運動エネルギーの導出はそれほど難しいものではありません。したがってそれについての導出は「導出物理基礎」で掲載しました。

 しかし2次元や3次元の運動についても成り立つことを導出するにはちょっと難しいので「導出物理(上下巻)」での掲載は見送りました。しかしそれについても問い合わせをいただきましたので、改訂版については巻末に2次元運動での導出を掲載することにしました。(2次元運動の導出が分かれば、3次元に拡張しても容易に理解できます)

 ただ、高校数学の範囲を若干超えるため、解説がちょっと苦しくなります。それには仕事積分(線積分ともいう)という考え方が必要になるからです。しかしその原理はたいして難しくはありません。高校で習う積分は、例えばある関数をxで積分をするとき、グラフのx軸は必ず直線になっているのですが、仕事積分の場合はそのx軸がグニャグニャっと曲がった曲線になるだけなのです。その曲線とは物体の移動経路に対応します。というわけで「改訂版」を是非ご期待ください。

 

 

 

 

教科書のインピーダンスの記述はほぼ誤り

 交流回路の抵抗に相当する物理量にインピーダンスがあります。これは実際はベクトル量であり、複素数で定義されているものですが、多くの教科書ではスカラー量として説明しています。ですので高校の教科書で出てくるインピーダンスの式は「インピーダンスの大きさ」と記述しなければ誤りです。

 そして「インピーダンスの大きさ」は覚えにくい公式があるのですが、大学に入ってからは定義のし直しが必要になり、覚えたものがほとんど役に立たなくなるという結果になります。「導出物理」の作成の立場からしても、これはちょっとまずいと思うようになりましたので、「改訂版」では数学で習う複素数の解説から行い、インピーダンスを正確に定義した解説を加えました。これは高校物理の教材としては日本初となります。

 といってもそんなに難しいものではありません。抵抗、コイル、コンデンサーのインピーダンス複素数で覚えることで、合成インピーダンスが簡単に計算できるようになるのです。これで長い公式は覚えなくて済みますし、高校数学では複素数を必ず習いますので、受験で役に立たないということもありません。「導出物理 改訂版」を是非ご期待ください。

 

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高校教師がつくるバカプリントの例

かつての私も公立高校の生徒でした。そのときの世界史の教師は特に最悪でした。非常に緻密なプリントを使っての授業でしたが、そのプリントには多くのブランクがあり、講義の内容を聞いて、生徒はそのブランクを自主的に埋めていきます。

 ところがどのブランクに、どの用語が入るのかということだけに集中してしまい、私のように頭の弱い人間には講義の内容が一切入ってこないのです。一方話に集中すると、今度はブランクが埋められなくなってしまうのです。

 ブランクを埋められていない生徒を見た教師は「集中して聞いていないのが悪い」という態度で一貫しており、ブランクに入る用語は一切板書しませんでした。結局授業が苦痛になりやる気をなくしました。今では世界史の用語は何一つ覚えていません。

 私がプリントを作るのであれば、ブランクなしのまとめを作って、そのあとに一問一答の簡単な確認問題を掲載します。それで少しでも演習を行うようにします。そうすることで頭の弱い人間にも十分対応できるのです。長年やっていてもそんなことに気づかないのですから、公務員とはやはり頭がどんどん退化しうる可能性を大いに秘めている職業といえます。